全財産を失った翌々朝、勢いよく叩かれたアパートのドア。開けると見知らぬ男性が立っていて(岩手県・50代女性) (1/2ページ)
岩手県在住の50代女性・Tさんは、高校卒業後、周囲の反対を押し切って上京した。
大変だけれども、憧れの都会暮らし。地元へは帰れない意地。
そんなある日、全財産を入れた財布を失ってしまい......。
<Tさんからのおたより>
今から40年以上前。高校を卒業後、地方から神奈川県の会社に就職しました。
親戚一同、親にも反対されながらも、強引に行った都会。憧れの都会での生活。
しかし、当時住んでいたのは、風呂なし、日当たりも悪い、おんぼろアパート。
仕事から帰宅後は、近くの銭湯に通っていました。
帰宅して気付いたのは近所ということもあり、洗面器に石鹸等を入れ、長財布を上に乗せ、徒歩での往復。
その日も、こんなスタイルで銭湯へ行ったあと帰宅したら、洗面器の上に乗せていた長財布が無いことに気付きました。
次の給料日までの、全財産が入った、安物の長財布。
私は青くなり、銭湯までの道を引き返し、目を皿のようにして、あちこち探し歩きましたが、長財布は見付かりませんでした。
明日からの生活をどうしようと、途方に暮れ、また今なら携帯電話がありますが、当時は公衆電話しかなく、一銭もない私は、実家に電話することもできず、反対されながら強引に都会に出たことを悔やみ、ただただ泣くことしかできなかった。
お母さんの手料理が恋しい......。
明日からどうやって生活したら良いのか......。
一晩中泣いて、泣き腫らした目で出社しました。
上司に心配され、事情を聞かれ、説明しました。
会社から近い場所にアパートを借りた為、徒歩で出勤していましたが、上司の計らいで、最低限の交通費を出してくれるよう、会社に掛け合ってくれることになりました。
一先ず、ホッとし、その日は上司に食事をご馳走になり帰宅しました。
翌日の明け方、アパートのドアを勢いよく叩かれ、眠い目を擦りながらドアを開けると、見知らぬ若い男性が立っていました。