念力で味が変わる「パワーブレンドTANAKA」のたこ焼きを食べてみた

2014.10.27 15:00 デイリーニュースオンライン

タグ：: たこ焼き; やってみた; カルトメシ; グルメ

【カルトメシ】

　日本全国の不思議でディープな料理を食べ歩くこの企画。第2回は、念力でたこ焼の味を変えてくれるという、東京・南千住の「パワーブレンドTANAKA」をご紹介しよう。物理学でも解明されていない“宇宙の法則”を発見したというご主人の指パッチンが、記者の目の前で炸裂する！

　JR常磐線の南千住駅から徒歩3分のところにある、外観はごく普通のたこ焼き店。ところが、店内に一歩足を踏み入れると、壁に「量子のもつれ×限定の法則」「チャレンジ0.9」「チャレンジ１」といったタイトルの張り紙がびっしり。食べ物や飲み物、たばこの味や香水の香りを変える方法が図入りで説明されている。

記者「あのう、念力でたこ焼きの味を変えてくれると聞いたんですけど」

ご主人「たこ焼きでも缶ジュースでもたばこでも、何でも味を変えられますよ」

　15年前に開業したこの店。当初は、店内に「あっさり」「こってり」「マイルド」「木村拓哉」「ゾマホン」「小泉純一郎」「坂本龍馬」などと、味の変化を書いたメニューを掲げ、ご主人がたこ焼きに念波を送って、客の注文通りの味に変えるサービスをしていた。人名がついた味は、どんな味なのかさっぱり想像がつかないが、とりあえず「木村拓哉」は「濃い味」のことなのだとか。

ご主人「前は、私が指を鳴らして味を変えていました。でも、いまは味を変えるやり方を店に張り出して、お客さんに自分でやってもらってるんですよ」

　念力が客のセルフサービスって……。

ご主人「うちの鉄板に、すでに私の念が込めてあります。この鉄板を使うだけで、“こういう合図をしたらこういう味になる”という情報が、たこ焼きに入力されるんです」

　なるほど。そういう仕組なら、超能力に自信がない記者でも安心だ。さっそくたこ焼きを注文してみた。目の前に出されたたこ焼きは、もちろん見た目はただのたこ焼きだ。

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ご主人「まずは元々の味のまま食べてみてください」

記者「もぐもぐ。美味いっ！」

ご主人「じゃあ、たこ焼きの皿を箸で3回叩いてから食べてみて」

記者「トントントン。もぐもぐ。美味いっ！」

ご主人「味が濃くなったでしょ？」

記者「いや、わかんないっす」

ご主人「じゃあ今度は2回叩いてみて」

記者「トントン。もぐもぐ。美味いっ！」

ご主人「あっさり味になってない？」

記者「わかんないっす」

ご主人「うーん。かなり鈍いねえ。辛いものが好きな人は味がわかりにくいんだよね」

　店内の張り紙には「7回叩くと自分味」と書いてある。

ご主人「自分の波動がたこ焼きに移動して、自分の味、つまりあなたの味になる」

記者「トントン……（7回）。もぐもぐ。美味いっ！　わからないっ！」

　そもそも、記者の味って、どんな味なのか。こんなやりとりをしている最中にも、近所の人達が次々とたこ焼きを買いに来る。しかし、誰一人として「味を変えてくれ」とは言わない。普通にたこ焼きを買って行くだけだ。超能力抜きでも繁盛しているようにみえる。念力で味を変えてほしいとオーダーしてくる客は、最近では1日平均10人前後だとか。

ご主人「そのうち9割は、味の変化がわかりますね。残り1割は、わからないって言う。でも、記者さんほど全くわからない人は珍しいなあ」

　缶入りのサイダーに、ご主人が一発、指パッチン。

ご主人「どう？　味がマイルドになったでしょ？」

記者「わかんないっす」

　何度か試したが、結果は変わらず。ご主人が、サイダーに手をかざす。

ご主人「いま、ダークマターの影響を取り除いてみました。もう一度缶を叩いて飲んでみて」

　ダークマターって何？　と尋ねてみたが、答えを聞いても何のことなのかちょっとわからなかった。そして、タバコの味も変えてもらった。本来なら味が濃くなったり薄くなったり、メンソールになったりするというのだが、記者にはさっぱりわからない。それでも、嫌な顔ひとつせず何度も念を送ってくれるご主人。そして、たこ焼き屋のカウンターで真剣にタバコをふかす記者。

記者「タバコが短くなってきたら、味が濃くなってきました！」

ご主人「それは（念力とは）関係ないね」

　今まで多くのメディアの取材を受けているが、テレビ番組の取材に来た芸能人にも、感度の良い人と悪い人がいたという。

ご主人「哀川翔さんはすごく感度が良かった。ロケが終わってからも、しばらくその辺でたこ焼きやタバコの味を変えて遊んでたよ」

　そんな雑談をしていると、ご主人から驚きの発言が。なんと、世界中の5円玉や10円玉に、味をどう変化させるかという情報を入力してあるという。そのため、誰でも自分が持っている硬化を飲み物や食べ物の容器に触れさせれば、味が変わるのだとか。1円玉なら「あっさり」、5円玉なら「こくまろ」。そして500円玉は、なんと「こい味」と「うす味」が1口食べるごとに自動的に入れ替わるという。

ご主人「少し前に、世界中のジンジャーエールとコーラとサイダーの味をマイルドに変えました。外国では確かめてないけど、近所の自販機でコーラを買ってみたら、実際にマイルドになっていた」

　みんなが知らないうちに、世界規模で味を変えられている……。こんな大それた能力を持ちながら、地道にたこ焼きを焼き続けるご主人。いつか、味が変化する仕組みを学術論文としてまとめるのが夢だとか。

ご主人「これは超能力というより科学です。私は宇宙の法則を発見して、物質を量子レベルで変化させることで味を変えている。現在の物理学ではまだ解明されていませんが、この宇宙の法則を味の変化という面から証明したい」

　たこ焼きそのものは、文句なしで美味い。そして、食べたたこ焼きの数に関係なく、ご主人と超能力談義でお腹いっぱいだ。

「パワーブレンドTANAKA」