【現地ルポ】民主化デモで香港分裂!? 騒乱の裏に謎のアメリカ人 (2/3ページ)
引き合いに出された汪副首相はロシア南部ソチを訪問中の10月14日、「西方国家(西側諸国)」と踏み込んだ発言をしている。「西側は香港でカラー革命を引き起こそうとして反対派を支持している」。西側諸国がウクライナ問題をめぐりロシアに経済制裁を加えていることを念頭に「中露は力を結集し、両国の戦略的互恵協力関係の発展に力を注ぐことで、西側諸国に反応すべきだ」とロシアに呼びかけたという。
実は香港ではデモ開始前から、マーク・サイモン氏なる〝ナゾの米国人〟がメディアを騒がせてきた。一連のセンセーショナルな報道のスタートは、香港の週刊誌『東周刊』6月19日付号外だ。
表紙に映るのは高級車の後部ドアを開ける黎智英氏。香港では知らぬ者はいない大富豪だ。一代でカジュアル服チェーンのジョルダーノを創業し(1996年に売却)、その後、民主派系紙『蘋果日報』を香港と台湾で発行するメディア大手、壱伝媒集団を築いた。現在は同集団会長を担う。
号外らしい「独家直撃(独占直撃)」の派手な文字と共に「黎智英 密会 美国防部前副部長」の題字が躍り、マリーナを歩くポール・ウォルフォウィッツ元米国防副長官と、壱伝媒幹部で黎氏の〝右腕〟とされるサイモン氏の写真も載った。黎、ウォルフォウィッツ、サイモンの3氏が5時間にわたり、黎氏所有のクルーザーで密会した場面を撮影したものだという。
ウォルフォウィッツ氏といえば、イラク戦争を主導したネオコンの代表格として知られ、同誌は「米政界のタカ派で対中強硬の立場」と記した。また、サイモン氏は「米共和党の元香港支部長」という(正しくは米共和党員で構成する組織の元香港支部長)。
さらに7月22日、3氏に関する新事実が香港メディアを揺るがす。中立系紙『明報』同日付によると、前日に「壱伝媒股民(株主)」を名乗る何者が同紙にメールを寄せたという。そのメールには、サイモン氏のパソコンから盗まれたとみられる文書や写真、録音など約860件が添付されていた。内容が真実なら、黎氏は昨年だけでも、民主派政治家らに総額およそ1000万香港ドル(約1億4600万円)に及ぶ献金をしたことになる。