悩みを聞いてくれる心理カウンセラーのタクシードライバーが話題に

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悩みを聞いてくれるタクシードライバーが登場
悩みを聞いてくれるタクシードライバーが登場

 何気なく乗ったタクシーで、運転手とふと話し込んでしまったことはないだろうか。名前を明かして話すわけでもなければ、車を降りれば再び他人。そんな微妙な距離感だからこそ、友人や家族にはなかなか言えないことを、さらりと話してしまう人は案外多いのだそうだ。

 こんなタクシー特有の人間関係に着目したスウェーデンの大手タクシー会社・ストックホルム社が、ドライバーに心理カウンセラーの資格をもつプロフェッショナルを配備して話題となっている。顧客が目的地に向かうまでの間、悩み相談のスペシャリストであるドライバーが顧客を文字どおり「正しい方向」に導いてくれるというわけである。もちろんドライバーには守秘義務があり、どんな悩みでも決して「車外」に漏らすことはないという。今回配備されたドライバーのひとり、ミア・ファーレンは次のように語っている。

「たった10分の走行だとしても、顧客の人生を良い方向に導くきっかけを与えることができると思います。スウェーデンでは多くの人たちが孤独なんです。ストックホルムにも独りで暮らしている人が大勢います。たまに外国の顧客を乗せると、スウェーデンに来たのに人に会う機会がない、と嘆いています。そして彼らが勇気をもって話しかけても、スウェーデンの人々はとても寡黙なんです」

乗客の70%がタクシーの乗車中に悩み事を考えると回答

 彼女は、このタクシーカウンセリングのコストパフォーマンスも強調している。普段カウンセラーとして彼女の報酬は1時間のカウンセリングで165ドル。しかしタクシー乗車中のカウンセリングならば、はるかに安く済むというわけである。

 タクシー・ストックホルム社の広報によると、今回の施策のきっかけはもともと顧客アンケートの結果だという。

「顧客のうち約70パーセントの人たちが、タクシー乗車中の時間は考え事をするのに良い時間だと答えていたんです。そして時に、そこで悩みを見つけることもあると答えていました。ドライバーは、セラピストのような役割になっていたわけです。だから私たちはこの2つ(ドライバーとカウンセラー)をつなげたのです。おそらく世界で初めての試みだと思います」

 この新サービスに対して、一部では宣伝目的の話題作りではないかという厳しい見方もある。スウェーデンではつい最近Uber(個人がタクシーになるアメリカで人気のサービス)が上陸し、タクシー業界は戦々恐々としている。しかし広報はUberは決して脅威ではなく、これまでも存在したライバルのひとつにすぎず、今回のサービス導入とは関係がないと話している。

 タクシーが心を癒す。その営業スタイルは、浸透するのだろうか。

参照サイト
Stockholm taxis offer free therapy sessions - The Local

(取材・文/X51

(Photo by yanfuano via flicker)

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