「元犯罪者雇用の奨励金制度」が裏社会の新たな金脈になる可能性 (1/2ページ)
警視庁の発表によると、平成25年末の時点で全国の暴力団構成員と準構成員の数は5万8600人と前年より減少した。これは統計を取り始めた昭和33年以降で最少の数字だ。暴排条例の締め付けがじわじわと浸透し、成果が表れてきているのかも知れない。しかし、暴力団員が減ったという事は、組織を辞めた「元暴力団員」が増加しているとも言える。暴力団を辞めた人間は果たしてどこにたどり着くのか。
組織という足かせがなくなった人間は、歯止めが利かずに非道の限りを犯してしまう危険性もある。それまでは組織のルールに縛られていた連中が、さらなる悪事に手を染めてしまう可能性は否定できない。昨今、ルール無用の「半グレ」がのさばってきたのも、これと無関係ではない。
こういった現象は数字にも表れている。たとえば保護観察の終了時点で仕事を持つ出所者の再犯率が7.5%なのに対し、仕事を持たず無職だった出所者は30%が再び罪を犯しており、その差は約4倍にも上っている。
彼らの再犯率を下げるために法務省は出所者を雇う協力雇用主に対し、1年間にわたって最大72万円(出所者1人当たり)の奨励金を支給する新制度を来年4月から始める。出所者の年間新規雇用を現在の約2500人から約4000人に増やした上で、新たな職場への定着も実現したいとしている。
だが、この制度にも落とし穴がある。善意で刑務所からの出所者を雇用したはいいが、そこで発生するトラブルは少なくないという。東京・多摩地区で建設会社を経営していたAさん(53歳)のケースを紹介しよう。発端はあるNPOからの提案だった。
「あるNPO団体が、『出所者の社会復帰に協力してほしい』と言ってきたのがキッカケでした。私らの業界は慢性的な人手不足で前科者を雇うことには抵抗もない。それに賃金も低く抑えられるというのが魅力的でした」
Aさんの建設会社では最盛期で最大8人雇用した。当初は真面目に働いていた彼らだったが、しばらくすると会社がおかしなことになっていったという。
「半年も過ぎた頃から、彼らが他の従業員を脅したり、イジメたりして、どんどん辞めさせてしまい、結局は元暴力団の人間しか残らなかった。最終的に私の会社は元暴力団員の連中に乗っ取られてしまったんです。