空からの盗撮も可能!? 『あまちゃん』で話題になった「ドローンカメラ」とは?

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身近になりつつあるドローンカメラ
身近になりつつあるドローンカメラ

 2013年に放映され、社会現象にもなった朝の連続テレビ小説『あまちゃん』(NHK)。同作品のオープニングでは、のどかな岩手の田園地帯を縫って走る三陸鉄道(作中では「北三陸鉄道」)の車両にグイッと寄った空撮映像が利用され、視聴者に強い印象を残した。カメラが白い気動車と追いかけっこをしているようなオープニング映像は、従来のヘリコプターからの空撮では撮れかったもの。それを可能にしたのが、「ドローン」や「マルチコプター」と呼ばれる、高性能カメラを搭載した小型のラジコンヘリ。カメラの映像を頼りに視界外からでも操縦できるモデルが大半で、プロユースに耐える本格的な機種でも10万円未満で入手できる。そのため、「大人の趣味」としてブームになりつつあるのだ。

 そんな「空から撮りたい」大人たちがまず憧れるのが、冒頭でも触れた『あまちゃん』のオープニングのような〝鉄道風景〟。鳥のように自在に地平を俯瞰することができるドローンカメラでは、実在の街を、さながら鉄道模型のジオラマのように扱うことができる。ただ、そこには危険も潜んでいるのだとか。

「これまでに見たことのない景色は撮影できますが、風に流されたドローンが車両や架線に接触するなど、通常の鉄道撮影とは違ったリスクがあります。そういう失敗を犯してしまうと、莫大な額の損害賠償を請求される可能性があります」(鉄道写真家の男性)

 輸送障害につながるドローンによる空撮について、JR東日本の広報部に尋ねてみると。

「現時点でドローンカメラでの撮影を一切お断りする、というようなことはしておりません。ただし、一般論として、運行に支障をきたすおそれのある行為については、慎重にしていただきたいところです」(JR東日本広報部)

露天風呂盗撮の危険性も

 それとは別に、「空から」狙われる被写体もある。露天風呂の女湯だ。

 ドローンに搭載されている最新鋭のカメラからなら、望遠レンズなどの特別な装備がなくても、露天風呂の盗撮が可能。飛行音から盗撮に気付かれる可能性もあるが、時速20〜50キロで飛行することができるため、盗撮に気付かれたとしても、ドローン本体が〝捕獲〟される可能性は低い。また、視界外からの無線操縦が可能であり、盗撮犯を捕らえようとしても、どこにいるかの見当さえつかないということになる。

 10月12日に放映された『キタノ工務店』(フジテレビ系)では、温浴施設の露天風呂でくつろぐ、芸人のカンニング竹山をドローンカメラで襲った映像が使われている。同番組で撮影に使われた温浴施設に話を聞いてみた。

「北側が斜面であることもあり、『キタノ工務店』撮影時は機体が風で飛ばされることも多く、OKシーンが撮れるまでにはかなり苦労していました。放映された映像も、施設が協力し、施設建屋の天井から露天風呂に向けて飛ばす形で撮影したものです。当施設に限っては、ドローンカメラでの盗撮は不可能だと思います」(「西品川温泉 宮城湯」広報担当者)

 地理条件上、盗撮・のぞきが不可能な設計だという「西品川温泉 宮城湯」。とはいえ、日本に数多ある温泉旅館などの施設の中にはドローンカメラによる盗撮が可能と思えるところも多く、実際にそういった事件が多発するようになれば、露天風呂に屋根を設置するとか、最悪の場合には閉鎖などの厳しい対策を余儀なくされるかもしれない。

 ここ20年に進歩したテクノロジーの粋を集めたとも言える発明品ドローンカメラだが、社会生活に混乱を生じる危険性も秘めている。ユーザーの良識が問われる大人の趣味のようだ。

(取材・文/高江宏孝、Photo by Motographer via flickr)

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