このヒーロー、君はどう見る?『仮面ライダー鎧武』
あにぶ初の特撮作品コラムを掲載させていただこう。
まず、「仮面ライダー」と聞いて皆さんは何を思い浮かべるだろうか?
悪に立ち向かう正義の味方。変身!と同時に怪人と勇んで戦う姿。
どれも正解だ。その精神は日曜朝に放送している『平成仮面ライダーシリーズ』にも受け継がれている。
ただし、その仮面ライダーの力を、個性も目的も違う多くの人間が手に入れたとしたら?
きっと一人一人、異なる力の使い道を選ぶだろう。
そんな、現代の仮面ライダー達の入り組んだ特撮ドラマ『 仮面ライダー鎧武 』をご紹介しよう。
■アーマードライダー=禁断の果実をもぎ取った者
この物語の仮面ライダーは、鎧をまとった姿から「アーマードライダー」と呼ばれている。
ロックシードという錠前を模したアイテムを、変身ベルト・戦極ドライバーに装着すると、空からオレンジ、バナナ、メロンといった果物が降ってきて、変身者の鎧として装着される。
何を馬鹿げたことを言ってると思われるかもしれない。そこで、実際に変身映像をご覧いただこう。
私は変身ギミックに毎週驚かされっぱなしだった。この調子で、回を重ねるごとに新しいライダーや新しいアームズ(ライダーの強化武装)が登場していく。
本作のメインライターである虚淵玄は、当初フルーツ&鎧&錠前というコンセプトを製作上層から聞かされた時に大いに頭を悩ませたという。
しかし、これらの要素は放送終了した現在となってはシナリオ上で不可欠の要素となっている。
錠前→ロックシードを開くことで、禁断の果実の力を解放する。
フルーツ→古典神話に伝承される「黄金の果実」を勝ち取るための争いに発展する…
その天下分け目の合戦は、戦国武将さながら。
というように、噛み合わないはずのキーワードが不思議と繋がってくる。
虚淵玄が脚本を担当した『魔法少女まどか☆マギカ』においても、魔法少女というお馴染みの題材ながら、マスコットキャラ・キュゥべえの重要性や、変身アイテムに相当するソウルジェムがもたらすリスクがシナリオに巧妙に組み込まれていた。
■互いのリスペクトが生んだもの
そもそもの発端は、虚淵玄が以前から平成ライダーシリーズ(特に2000年代前半の作品)の大ファンであったことと、東映の武部直美プロデューサーがまどマギを観てキャラクターの綿密な描き方に感心したことから縁ができたという。
意外に思われるかもしれないが、鎧武より前から仮面ライダーと虚淵作品は、両者のファンの間で並べて語られることも多かった。
その大コラボレーション的な作品が世に出て、今は仮面ライダーの一人として子供から大人までおおむね受け入れられている。
私からここまで紹介したら、鎧武を鑑賞するかどうかはあなたの選択にかかっている。
(あにぶ編集部/将軍コメス)