たかじん「殉愛」騒動で話題、及川眠子先生の著書を読んで...『ほぼ日刊 吉田豪』連載174 (2/3ページ)

東京ブレイキングニュース

ポリスター移籍直後、異常なまでに気合が入っていた頃は、よく真夜中や明け方に電話がかかってきて、ほとんど訳のわからないことを一人勝手にぐちゃぐちゃ喋っていたのだが(あれはもしかしたら、彼なりのミーティングだったんだろうか?)、適当にいなしているうちに、どうも及川は冷たい女だと思われたみたいで、その後電話もかかってこなくなった。だって、朝の五時頃に電話がかかってきて、イヤぁな予感がするから電話に出なかったら、案の定べろんべろんに酔っ払ったたかじんさんが留守番電話に、『なんで今頃寝てるんやー! オレは戦うでぇ!』。そんなヤツの相手などしたくはない」

 さらには、「一度あまりにたかじんが訳のわからないことを言うので、私の方がぶち切れて、電話で怒鳴りまくったことがあった」ぐらいなんだから、そりゃあたかじんも彼女から距離を置いて当然。でも、この距離感を百田尚樹先生にも是非見習って欲しいと思った。

「私は自分が詞を書いてきた人たちとは、プライベートでの付き合いはほとんどない」「なぜなら、私生活で仲良くして、その人なりのいろんな部分を知って情を持っちゃったりすると、詞に遠慮が出てしまうのだ。ああ、やっぱこんなこと書いちゃマズイなぁなんて思って、つい無難にまとめあげてしまったりする。ある男性歌手が不倫をしていた。相手も芸能人だった。私は全然気付かなかったのだが、その女性をコンサートや打ち上げでよく見かけるなぁなんて思っていたら、あるとき写真週刊誌にデカデカとすっぱ抜かれていた。そのいきさつを決して本人から聞いたわけではないのだが、そういうことを知ったあとは何となく彼に対して不倫の歌が書きにくくなってしまった。その男性歌手はとてもいい人で、私にもいろいろ気を遣ってくれた。プライベートな付き合いはなかったが、彼のことは『人として』とても好意を持っていた。そう! この『人として』相手を見てしまうことが問題なのだ。『商品』や『素材』であるだけなら、いくら立ち入ったことを聞こうが、その場限りで忘れてしまえる。でも一度人としてその人をわかってしまったら、なかなか冷たくなれない。

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