「仲本工事夫妻はウザかった」元受刑者が語る残念な慰問芸能人
刑務所の楽しみと言えば、お菓子とテレビ、それに慰問だろう。
慰問を積極的に行うアーティストと言えば、すでに300回以上の公演を行っている女性二人組のユニット「Paix2 (ぺぺ)」が有名だ。『元気だせよ』など、受刑者を勇気づける楽曲もさることながら、刑務所内では生身の若い女性を見る機会などないため、こうした点からも彼女たちは人気を博している。もっとも、若いとは言っても、もう2人とも30代半ばを過ぎているが……。
元受刑者の方々に慰問の思い出を語ってもらった。
「震災直後のときだったね、ジャズバンドが来たんだけど、その前口上がひどくてさ、背後には当のジャズバンドが控えているというのに、『え~、今年は、さだまさしさんに依頼したんだけど断られて、長山洋子さんにも断られて、それで仕方ないのでジャズバンドに頼みました。一応、プロということなので、来年は交渉がんばりますので、今年は勘弁してください』なんて、ふざけた説明してるんですよ。こんな失礼な紹介ありますか!」(49歳・詐欺犯)
そのジャズバンドは無名だったものの、演奏は秀逸で、多くの受刑者たちを唸らせたという。
あの人気アーティストもやってきたが……
逆に知名度が高くても、評判の悪かった芸能人もいるようだ。
「ドリフの仲本工事が新妻の歌手・三代純歌と結婚した当初、一緒に来たんだけどね、延々と新妻とノロケ話をするんだよ。囚人相手に! 『まだ終わらんのか』『まだ続くのか』と、次の歌のタイトルを発表するたびに、溜息が広がっていたよ」(34歳・暴力団員)
長期受刑者にとって、女とのろけ話ほど苛立つものはない。慰問と言えば、誰でも歓迎されるものかと思いきや、必ずしもそういうわけではないらしい。
「慰問って、けっこうストレスがかかるもんなんです。俺が初めて慰問演芸を見たとき、『今の曲、いい曲だったね』って隣の囚人に話したんですよ。そしたら、看守から『テメーッ、ナメてんのか!』って睨まれてね。コンサートの間中、ビシッと背を伸ばして座って、一言も声を発しちゃいけないんです。その点、Paix2 (ぺぺ)なんかはさすがにやり慣れていてね、あらかじめ看守に『この曲では受刑者の皆さんに手拍子をやりながらサビの部分を一緒に歌ってもらいたいんですけど、いいでしょうか?』って、許可を取るんだよね。こう言われると、看守も渋々と認めざるをえないんですよ」(42歳・元闇金業者)
その慰問が癒しとなるか、はたまた、囚人にとって更なる懲罰となるかは、訪れる芸能人の力量次第のようである。
(取材・文/井川楊枝)