「パワーグローブ」をストップモーション映像の撮影機材に改造!

Kotaku

「パワーグローブ」をストップモーション映像の撮影機材に改造!


任天堂のパワーグローブのサーキットボードを取り替えてBluetooth接続にし、とっても便利なアニメーションツールしたストップモーションアニメーターのドキュメンタリーをSploidが紹介しました。
 


 

パワーグローブのCM


1989年、任天堂がNES用「パワーグローブ」を発売。アメリカ国内では約10万個が売れた。

しかし、パワーグローブ用に作られたゲームの販売はふるわず。その原因に、致命的な商業的失敗があると考えられている...。

そんなパワーグローブをストップモーションの撮影機材にした男がいた...。

ーカリフォルニア州バーバンク Stoopid Buddy Stoodiosー


操作をする様子


ディロン・マーキーです。僕が作ったものは、Bluetooth対応のパワーグローブです。これはコンピューターに接続し、ストップモーションの撮影に使用するドラゴン・ストップモーションソフトウェアを操作することが可能になっています。

数年前まで、僕はもっと大きなスタジオで働いていて、連日、端から端まで移動しアニメのカメラまで戻るということを繰り返していました。

そして、USBがついているニューメリックのキーパッドを持って移動しながら、「これが自分の腕に着いていたら、どんなに楽だろう...」と、1日中腕に装着したままアニメ付けを可能にするデバイスを思いついたのです。

機能面以前にパワーグローブはとてもクールです。子供時代の僕にとって欠かせないものでした。初めて見た時から惚れ込んでいました。自分の体を使ってビデオゲームが楽しめるなんて! それに、その見せ方も純粋に良かったんです。

家出した少年少女がビデオゲームを通して家族の絆を取り戻す映画『スウィート・ロード』の中に、カリフォルニアで開催される「ビデオ・ハルマゲドン」というゲームトーナメントに出場予定のパワーグローブ使いの青年が出てきます。

彼のセリフの「パワーグローブを愛している 憎いやつだ(意訳)」と言っているところを見て、叫びたくなりました。「俺もパワーグローブが好きだーーー! OMG!」最高でしたね。


改造中の様子


僕は機械いじりの経験なんてありませんでした。そこで、DIYの経験があったり得意だったりする友人に助けを求めました。最終的にスタジオで働く女性と話していたら旦那さんが電気技師だと言うじゃありませんか。「是非会わせてくれ!」と頼みましたよ。

早速彼を紹介してもらい、望み通りのデバイスを作るために必要な部品を教えてもらいました。それからネットでオーダーして、自前のパワーグローブを解体。注文したサーキットボードを組み込んでこのマシンを完成させたのです。

十字キーでフレームを送ったり戻したりさせることができます。センターボタンでプレイ、Bボタンで2フレームをキャプチャー、Aボタンで1フレームをキャプチャーします。これらが最も重要なキーです。数字ボタンは便利な機能をプログラムすることができます。


自分用に細かい機能も追加


サイドにはワイヤーで伸び縮みするトウィーザー(毛抜き)が付いています。これは、パペットの細かな動きを調整する時に便利なのです。パワーグローブにマグネットをつけているので、ワイヤーが縮んだ後はしっかり固定されて邪魔になりません。

また、拳と拳を合わせると「Fucking Awsome!」という声がスピーカーから出るようになっています。ディレクターなんかがやってきて作品を褒めてくれた時に使うのです。

アニメーションを撮影していると、その世界に没頭してしまいます。ここの人はそれを「ゾーンに入る」と言っています。ステージは黒いカーテンで囲われ、撮影が終わるまでは完全に自分とパペットだけの空間になります。

より良いアニメーターになるためには肉体的苦痛にも耐えなくてはなりません。一日中立ちっぱなし、テーブルの上で腰を曲げ、無理な体勢を続けるということが1日10時間なんてことが普通です。体がギシギシと音を立てて痛む過酷な仕事です。時には1フレームの撮影に10分かかることもあるのです。


こうして出来上がっていくアニメーション


ひとつひとつの動きが自分が描いた通りになるのか、パペットを細かく動かし、それをチェックしなくてはいけません。うまくいっていると思ったら別のパペットを動かしていく...。そして思い通りの動きだと確認できたら、全キャラクターを一度に動かすのです。

初めてパワーグローブでアニメーションをつけた日は自分にとってとても特別でした。僕がその日に担当したアニメは『Friendship All-Stars』の宮本茂とビル・ゲイツがジャグジーを楽しむというエピソードだったのです。

宮本茂氏はご存知の通り、任天堂の専務取締役で『スーパーマリオ』シリーズの生みの親です。僕はパワーグローブでアニメ付けするのに最も相応しいと思いながら撮影しました。

初めてこのデバイスのアイディアを思いついたのが3年前、使い始めて1年半が経過しています。

多くの人がパワーグローブの存在を忘れてしまっているかもしれません。僕がこれをしていると半数の人が「それは何? おぉ~」とか、25歳以下の若い人なんかは「そりゃ、なんですか!? へ~、クールですね」といった反応をします。

まるで「存在すらしなかったもの」といった扱いをされています。でも、僕にとっては世界で最も格好いいサイボーグアイテムなんです。

僕は良いアイディアだと思っていますよ。ちょっと先取りし過ぎた感はありますし、正直言うと僕を笑い者にする輩もいます。でも、そんなことは気にしません。間違っているのは彼らですから。

せっかくなので、パワーグローブで撮ったアニメ『Friendship All-Stars』のジャグジーエピソードも貼っておきますね。



Animator turns Nintendo Power Glove into cool stop-motion film tool[via Sploid]

中川真知子

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