2025年には5人に1人が認知症に!老々介護が進む中、監督責任ってどこまでやればいいの?! (2/3ページ)
第一について、判決は、男性の妻に監督義務者該当性を認め、男性の長男にはそれを認めませんでした。
監督義務者の根拠は、「法定の義務」であり、代表的なものに、成年後見人や精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(精神保健福祉法)の定める保護者があります。しかし、本件ではこれらの者はおりませんでした。
判決が用いた根拠は、夫婦間の協力扶助義務(民法752条)です。確かにこれも「法定の義務」といえることに間違いはありませんが、この義務が、夫婦間で相互に負う義務という性質を越えて、第三者への損害に対する責任の根拠となり得るかについては、疑問がなくはありません。しかし、監督義務を完全に否定するという判断をすれば、それは結局は被害者が損害を負担することを意味し、判例の判断もやむを得ないと考えられます。また、判決も、協力扶助義務から直ちに監督義務者性を認めるのではなく、本件の具体的状況を踏まえて、監督義務者該当性を認めるという限定的な認定を行いました。
判例は、男性の長男について、直系血族間の扶養義務(民法877条1項)を指摘しつつも、扶養義務は協力扶助義務ほど強い義務ではないこと、同居していなかったこと、男性の妻の監督が行われていたことから、監督義務者該当性を否定しました。
大きな要素を指摘すれば、同居の妻と別居の長男の比較とも言えますが、仮に男性が一人暮らしであった場合は、具体的状況に左右されますが、別居の長男に監督義務者該当性が認められることも考えられるでしょう。
■どこまで行えば監督義務を果たしたと言えるのでしょうか?
監督義務者であるとして、どのような監督まで行えば良いのかも大きな問題です。本件でも、この部分は、「いったいどこまでやれば、十分な監督と言えるのか」という疑問を生じさせました。
本件で、男性の妻は、男性が福祉施設に行く以外はほとんどを現実に見守れる状態を維持するという、相当に充実した介護をしていました。ただし、男性は、男性の妻に無断で徘徊することがあったようです。