安倍首相が強行する「農協解体」キナ臭舞台裏 (2/5ページ)
そうして、主業農家(専業農家)に土地を集約し、アメリカのような大規模農業に移行させようとしているんです」(全農関係者)
それだけにとどまらない。
「加えて、各種企業の農業への新規参入を促そうとしています。主業農家が兼業農家から土地を集め、大規模農業を実施するならまだしも、そこに利益最優先の企業論理が持ち込まれたらどうなるか? 安全性は度外視され、農地が荒廃するかもしれませんよ」(前同)
そうなっては一大事である。しかし、政府の農協改革はさらに続くという。
JA関係者が口を揃える政府の"次の一手"は、「(1)農家でない准組合員の利用規制、(2)JA全農(全国農業協同組合連合会)の株式会社化」――とか。
いずれも、今回の改革では見送られた案件だ。しかしなぜ、この案件が農協解体につながるのか。
まず、農家でない組合員(准組合員)というのは、JAバンクやJA共済を利用する人たちのこと。彼らが農協に預金したり保険金を支払うことに、制限をかけようとしているのだ。東京大学大学院(農学生命科学研究科)の鈴木宣弘(のぶひろ)教授が解説する。
「現在の農協は、JAバンクやJA共済などの信用事業なくしては、経営は立ち行かなくなっています。つまり、政府は准組合員を農協から引き離すことで、農協の経営が立ち行かなくなるように仕向け、解体しようとしているんです」
首尾よく農協を解体したら、兼業農家が政府のターゲットになるという。
一方、JA全農は、農家からコメなどの農産物を一手に買い入れ、農機や肥料などを農家に共同販売する中央組織だ。
「そのJA全農が株式会社化されたら、独禁法(独占禁止法)の適用除外が受けられなくなる可能性があります。これまで、零細農家は、全農という巨大組織を通じて販売交渉力を持つことができました。しかし、独禁法の適用を受けたら、それができなくなる。そうなると、巨大な小売企業などに、生産した農産物を買い叩かれかねません。つまり、現状の農協改革は農家の販売力を強化するのではなく、販売力を削ぐ結果になってしまうわけです」(前出・鈴木教授)
こうして、兼業農家がたまらず農家を廃業し、土地を吐き出すことになるというのが政府の描く青写真。