あの人の影響を受けた本を聞こう! ジャズシンガー・森岡“マレーネ”典子さん (2/4ページ)

新刊JP



森岡:野村克也さんの『エースの品格~一流と二流の違いとは~』(小学館刊)です。野村監督の執筆された本は何冊も持っているので、「この本1冊」と言うより、野村氏の数々の著書から影響を受けました。野村氏は著書が多く、書店でまだ読んだことのない物を見つけるとつい買ってしまうんです。プロ野球の選手として、そして監督としての長年の経験の中から得た、勝負の極意や選手の育て方、選手1人1人の個性の見極め、そして敵を徹底的に分析し、蓄積されたデータに基づいて相手を攻略するという考え方。野村氏の緻密で鋭い分析力は、野球のみならず、様々な業界でも通用するヒントに満ち溢れていると 思いますし、とても参考になります。
ちなみに私の座右の銘は、野村氏の著書の中で出てきた言葉「念ずれば花開く」です。自分の夢をひたすら心に念じて、それに向かってたゆまぬ努力をすれば、いつかきっと花開く時が来る。長嶋茂雄氏のように常に脚光を浴びる花形スター選手ではなかったけれど、地道な努力で野球界に足跡を残した野村氏らしい言葉だと思います。

――最後になります、3冊目はいかがでしょうか。

森岡:ダニエル・キイスの『アルジャーノンに花束を』(早川書房刊)です。この本に出会ったのは、確か20歳前後だったでしょうか。元々、心理カウンセラーなど、カウンセリング的なものに興味があって、精神分析に関する本や心療内科系の本を読むのが好きだったのですが、そんな中で出会った本だったと思います。
私にとって愛読書といっていい本で、今まで何度も読み返しました。今回も紹介するにあたって読み返しましたが、読む度に涙が止まらない、何とも言えず切ないです。実験によって一旦得た高い知能、それによって様々な事を知り、恋をし、沢山の喜びを得ると同時に、知能が低かった時には知らずにいて幸せだった事に気付いてしまい、知らなくて良かった苦しみも味わい……。でもその知能が、獲得した以上のスピードで急速に衰えていく。薬の副作用による凶暴性と闘いながら、自らの知能が衰えていく様を自ら見つめる。あまりに残酷で悲しいストーリーですが、最後に自分と同じ境遇を辿った実験用のネズミの事を案じるくだりには、涙を禁じ得ません。
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