よく似た缶チューハイ『本搾り』と『こくしぼり』は一体どちらが美味しいのか? 飲み比べてジャッジしてみた!

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よく似た缶チューハイ『本搾り』と『こくしぼり』は一体どちらが美味しいのか? 飲み比べてジャッジしてみた!

スーパーの店頭で“そっくり”なコンセプトの商品が並んでいるのを見かけることがあるだろう。特にアルコール飲料はその傾向が顕著! 今回はキリン『本搾り』とサントリー『こくしぼり』の3種のフレイバーを飲み比べ、どちらを買うべきか、ジャッジしてみた!



■王者キリン『本搾り』に、サントリー『こくしぼり』が挑む!
今回比較するのは、キリンビール株式会社(東京都中野区)による『本搾り(グレープフルーツ、レモン、オレンジ)』(350ml・オープン価格・発売中)と、サントリースピリッツ株式会社(東京都港区)による『サントリーチューハイ こくしぼり グレープフルーツ、オレンジ、レモン&ライム』(350ml・オープン価格・2015年2月10日発売)の2ラインである。
2003年の発売当初からリニューアルを経つつ「うまい缶チューハイ」の代名詞として君臨し続けてきたキリンの『本搾り』シリーズ。期間限定フレイバーも含めて常にチューハイ・シーンの本命とされてきた『本搾り』だが、サントリーより浸漬酒という手法を武器に投入された『こくしぼり』が今年の2月に新発売されることによって、シーンは騒がしくなっている。
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フルーティーな果実味を核としたチューハイというコンセプトはほぼ同じ。そして商品ラインナップも先行している『本搾り』シリーズが期間限定商品などでバリエーション豊富だが、定番はあくまでグレープフルーツ、オレンジ、レモンの3種であり、後発の『こくしぼり』はほぼ同じフレイバー、グレープフルーツ、オレンジ、レモン&ライムでまさにガチンコの勝負を仕掛けてきた。
缶のデザインも柑橘の写真を大きく用いた似たコンセプトのもの。さらに価格帯もオープン価格、店頭での実売価格はどちらも100円強とほぼ同格であるから、これはもう比較せざるを得ない。というか比較されるべき運命とともに登場したと言っても過言ではない。
ちなみに両者ともチューハイという名称で呼ばれ、酒税法上においては「リキュール(発泡性)」となる。ただしどちらもチューハイの語源となっている焼酎は含まれていない。

■まずは製法の違いを比較!
キリン『本搾り』のベースは、蒸留酒(スピリッツ)であるウオッカ。加えられるのは果汁と炭酸ガスのみで香料、糖類(人工甘味料含)は一切含まれていない。アルコール比率はフレイバーごとに調整されている。
果汁比率もフレイバーごとに最適な割合を研究して仕上げており、飲む前にアルコールと果汁成分とが混ざるように缶を一旦逆さにしてから飲むことがメーカーから推奨されている。
発売から13年のロングセラーで、季節ごとにりんごなどの変わりフレイバーもリリースされている。
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一方でサントリー『こくしぼり』のベースは純粋アルコールのエタノールに近いスピリッツ(醸造アルコール)。その無味に近いベースに、果実や果皮を漬け込んでコクを出す「浸漬酒」を加える方策を取っているのが大きな違い。さらにこちらは、糖類と香料が含まれている。
アルコール比率と果汁比率をフレイバーごとの最適を研究して仕上げているところは同じ。缶を一旦逆さにしてから飲むことがメーカーから推奨されているのも同じだ。

つまり果汁とウオッカだけで作られたキリン『本搾り』に対して、スピリッツに浸漬酒、糖類、香料をミックスして作られたサントリー『こくしぼり』。混ぜ物が一概にダメというわけではないが、はたしてこの違いが味に、記者のジャッジに、どう影響するのか?

■ 第1ラウンド・グレープフルーツ対決
『本搾り』 グレープフルーツ(アルコール6%/果汁28%)
VS
『こくしぼり』 グレープフルーツ(アルコール5%/果汁28%)
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グラスに注ぐと本搾りの方が泡立ち良く、勢いがある。こくしぼりはさらりとすぐに炭酸が消える。果汁の混濁ぶりは本搾りが濃く、若干黄味がかった色味。
香りはむせ返る果実感が強いのが本搾りで、すっきりとしたグレープフルーツの爽やかさが強調されているのがこくしぼり。
一口飲めば、果実感は圧倒的に本搾りが強い。まさに居酒屋の目の前で果肉を絞られた生チューハイの感じである。一方のこくしぼりはカクテルベースに使うグレープフルーツという感覚で、果皮の苦味までも爽快に仕上げている。
コンセプトはほとんど同じながら、ジュースに近い果実感を味わうなら本搾り、アルコール飲料としてカクテルに近い味わいがこくしぼり、こんなにキャラクターが違うとは思わなかった! 改めて飲み比べると全く異色の性格を持っている。
恐らく若者に受け入れられるのは、生々しい果実の甘みまで感じさせる本搾りではないだろうか。かたやギムレットのようなカクテルテイストを思わせる、グレープフルーツの上品なエッセンスを抽出したかのようなこくしぼりはオトナ層に受け入れられるはずだと感じた。ただアルコール感の強いこくしぼりの方がアルコール度数自体は低いのは、意外な印象だった。

さて、いったいチューハイの理想像とは何なのかと、一発目の対局でいきなり考えさせられてしまった。つまり果実感がメインなのか、酒感がメインなのかということである。記者はオトナなので酒としての完成度を考えて、バーでサーブされてもおかしくないこくしぼりのスマートさを推す。チューハイで気取ってどうする!? という声が聞こえなくもないが、アルコール飲料としての完成度という観点から、果実が勝ちすぎるのもどうかと思うからである。

続いて、オレンジ対決に移ろう。


■第2ラウンド・オレンジ対決
『本搾り』 オレンジ(アルコール5%/果汁45%)
VS
『こくしぼり』 オレンジ(アルコール4%/果汁37%)
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次なる対戦はオレンジ。泡立ちに違いは感じられなかった。どちらもトプトプと、まるでオレンジジュースのようなとろみがある注ぎ心地。色味はやはり本搾りの方が混濁ぶりが強く黄色味が強い。こくしぼりはオレンジ色そのもの。
香りと味には、大きな違いを感じた。果実感が押し寄せてくるようにすごい香りだが同時に雑味も感じる本搾りに対して、香料を使っているせいか際立ったオレンジ風味がさわやかなこくしぼりという対照的な結果。
本搾りは炭酸がジュワジュワと口内に入り込んできて、果実酒の趣きが強い。果汁45%は伊達じゃないなと思う。一方こくしぼりは控えめな炭酸で、これまたスマートにまとめたなという感触。果実味は低いが、オレンジのフレイバーは強い。このバランスはまさに各メーカーのテイスターの目指すところの違いなのだろう。

トータルの印象としては、どちらもオレンジの果実感を強く感じられた。現地のもぎたての果実を味わうか、洗練されたリゾートで選別された果実を味わうかの違いだと思う。
この軍配ははっきり言って難しかった。野性の血が騒ぐ本搾りとインテリジェンスを感じさせるこくしぼり。どちらも甘みはきっちり出してきているので女性向けであることは確かだが、うまさの基準に悩まされる。
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記者の心情としては果実の持つ野蛮で野性味を掻き立てる味わいにインパクトがある本搾りに、オレンジ勝負の軍配を上げたい。記者は男性であるから、野性に憧れる気持ちもあるのだ。

さて、ラストはレモン(&ライム)対決である。

■第3ラウンド・レモン対決
『本搾り』 レモン(アルコール6%/果汁12%)
VS
『こくしぼり』 レモン&ライム(アルコール6%/果汁11%)
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さてここでちょっとだけ異種格闘技になる。
本搾りがレモン・オンリーであるのに対して、こくしぼりがレモン浸漬酒にライムを加えたという若干の差異があるからだ。条件だけ考えれば、あとから果汁を加えたこくしぼりが有利と思われるが、どうか。

グラスに注ぐと本搾りは荒っぽく、炭酸が激しく小気味よい音を立てる。一方のこくしぼりは炭酸感はあるものの、もう少しマイルドで音もソフトだ。色味は本搾りが黄味がかり、こくしぼりは白っぽい。どちらも混濁しているが、クリア感はこくしぼりの方がいい。このあたり、シリーズ共通の特徴のようである。

香りはどちらも酸っぱいというよりもさわやかな部分を強調した仕上がり。あとからライムを絞っているはずのこくしぼりだが、そんなに大きな違いはない。
口に含むと、本搾りは果皮の苦味がガツンと押し寄せる。こくしぼりはライムで苦味を抑えこんでレモンの酸味を際立たせる手法を取ってきた。炭酸はビリビリとした本搾り、後からソフトな炭酸感が襲ってくるこくしぼりと、これまた比べづらい。
単純に苦味が平気な人は本搾り、苦手な人はこくしぼり。レモンとライムの合わせ技で実現している酸味を味わいたいなら文句なしにこくしぼりだ。レディースなら酸っぱさが心地よいこくしぼりを選ぶんじゃないだろうか。
IMG_8130軍配は難しすぎる。アルコール感は低いがワイルドな本搾り、スマートだけどパンチに欠けるこくしぼり。今の気分でだけ言わせてもらえばあえて先発品の本搾りを選ぶ。何故ならやはり後発品の方が研究する時間がたっぷりあり(10年以上も!)、記者は男性なので男らしい飲み口のものを気分的に選びたくなるからである。

■『本搾り』VS『こくしぼり』  総評
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果汁感あふれる缶チューハイ対決。結果として2勝1敗で『本搾り』の勝利としたが、やはりその決め手となったのは、香料、糖類などの添加物だったと思う。
こくしぼりは10年以上の先発品の研究を経てのリリースだったわけだったから、やはり無添加で対決して欲しかった。せっかく浸漬酒という新たな手法を取り入れたのだから、それのみで勝負して欲しかったというのが正直なところだ。
本搾りはその点、実に無骨というか真っ正直というか、ウオッカに果汁のみ、香料糖類無添加というダイナミックな構成を貫いているところに記者は男気を感じてしまったのである!

もちろんこくしぼりにも良い所はたくさんある。何より全てにおいてスマートにまとめあげたアルコールドリンクとしての完成度である。都会的と言ってもいい。チューハイという庶民的ジャンルに、こうしたカクテル的なおいしさを導入したことには、研究者の心意気も感じる。
それでいて本搾りに軍配を上げてしまったのはオリジネイターの気迫と自信に圧倒されたというしかない。つまりは歴史の重みだ。ウオッカという酒の歴史、本絞りという10年を越えるトップランナーとしての歴史、その双方が味わいとなって記者の心を打ったのである。
しかしこくしぼりが発表になったのはまだ今年2月のこと。まだ初戦。これからが本搾りvsこくしぼりの本来の闘いが始まるのではないだろうか。その将来の死闘にワクワクしている。

尚、おためし新商品ナビでは『こくしぼり』発売時にも単独レビューを行っているので、そちらの記事も合わせてお読み頂きたい。 

「よく似た缶チューハイ『本搾り』と『こくしぼり』は一体どちらが美味しいのか? 飲み比べてジャッジしてみた!」のページです。デイリーニュースオンラインは、こくしぼり本搾り比較缶チューハイカルチャーなどの最新ニュースを毎日配信しています。
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