UAE(アラブ首長国連邦)に移住するということ 〈日本の常識は非常識!?編〉

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UAE(アラブ首長国連邦)に移住するということ 〈日本の常識は非常識!?編〉

アッサラーム・アレイクム! こんにちは。ジュメイラです。 日本では当たり前のことなのに、海外に行くと“エッ…!そうだったの!?”と驚くことって、ありますよね。 今回は、UAEで暮らしていて日本とは違うな~と思ったことを、書いてみます。

北向きの部屋が人気で、南向きは一番安い

日本の場合、一日中明るくて温かい南向きの家が好まれますが。ことUAEとなると状況が変わってくるようです。
理由は「夏になると日中の外気温が50℃を超える」から。UAEでは、太陽は脅威なのです。そのため、日が当たらなくて涼しい北向きの部屋の人気が高く、南向きの部屋は割安になります。

「そんなこと言っても、冷房が付いていれば大丈夫でしょう?」と思うかもしれませんが、甘い!です。
前回も家のサバイバル生活編で書いたように、冷房が壊れてしまった場合、修理に来てもらえる日程は思い通りに行かず、平気で1カ月以上、場合によっては季節が変わるまで待たされる可能性も考えられます。

しかも、結構な頻度で壊れるんです…、冷房が。我が家の場合は、一度エアコンのスイッチを入れると室内温度が無限に下がり続ける不思議な仕様になっています。もちろん、温度を設定しているのに。大家さんに修理、お願いし忘れた…。

晴天の日は「天気が悪い」!?

ドバイでUAE人に日本語を教えている日本人女性の友人から聞いた話ですが、薄曇りのパッとしない天気の日にUAE人の生徒さんに「今日はいい天気ですね!」と言われ、「???」となったとか。今の時期でも日中は気温30℃以上あるUAE。年間を通じて日差しが強い晴れの日が多く気温も高いので、UAE人にとって晴天は、あまり良い天気と言えないそうです。
曇りの日は良い天気ですが、最高に天気が良いのが雨の日なのだとか。

UAEの天気といえば、365日中300日以上は、この写真のように太陽にさらされて気温30℃以上の日が続きます。
雨が降ると、ツイッターなどで「ドバイで雨が降った!リフレッシュできたわ~」「アメイジング!!」といった呟きが増えて、雨を喜ぶ人が増えます。

雨で喜べるって新鮮…!
日本で雨が降ったら、彼らのような気持ちで雨を見て喜べるかな?
日本の場合、雨が降ると寒いからなぁ…。

UAE人の「5分後に戻る」は2時間後…?

UAE人との会議中や商談中、(UAE人に)電話がかかってきて「少し中座する。5分したら戻る」と言って戻ってきたのが2時間後だったとか…。
戻ってくるのは、まだいい方だそうで。
あるときは、「今からランチに行くから、戻ってきたら会議を始めよう」と言ったきり、結局その日は戻って来なかったり。しかも連絡はなく、悪気もまったくなし。その間、肝心のUAE人さんが居ないから話が進まず…。

日本の本社からは「いつ報告が出るんだ?」と急かされ、UAEでは「インシャー・アッラー(神のみぞ知る)」という調子で、なかなか仕事が進まないこともしばしば。期日が迫った仕事で日本人が焦っていたとしても、「何をそんなに焦っているのか?焦ってできるものでもないだろう」と一蹴。時間やスケジュール管理に正確な日本人にとっては、こういう文化の違いに順応するのが非常に大変なようです。

「ちょっと、お茶をしようか」となったら、そのちょっとはどれくらいになるのか…?誰も分からずインシャー・アッラー状態です。

客人を招くときは部屋の入り口付近に、主人は奥に

お客さんを家に招く場合、日本では部屋の奥が上座で扉付近が下座になります。
UAEは逆で、扉付近がお客様の座る場所(上座)で、部屋の奥(下座)に主人が座ります。

どうしてそうなのかは…不明です。これはぜひとも、現地の人に聞くチャンスがあったら聞いてみたいところです。
エスカレーターに立つ位置が関東と関西で変わる根拠がはっきりしないのと似ているかも…?

この写真は野外ではありますが、UAEの伝統的な客間では、中央に大きなカーペットが敷かれ、周りにソファが並べられます。このカーペットの上に直径1mほどの大きな料理皿を数皿置いて、皆で取り分けて食べたりします。主人は家の壁面にもたれかかって、客人は左側の砂漠側に座って皆でくつろいでいました。

昔はナツメヤシの葉で家を造り、暑さをしのいでいた

余談ですが…。

こちらはドバイ博物館にある昔(といっても30~40年前くらい)のUAE人の典型的な家です。昔はナツメヤシの葉で家を建て、暑さをしのいでいました。
キッチンは外。熱を部屋に入れないように野外で炊事をします。上部の櫓(やぐら)のような部分は、家の中に風を取り入れて涼しくする、扇風機のような役割をします。

今でこそビルが立ち並び冷房が使える家に住みますが、当時のUAE人の知恵と工夫には、頭が下がります。

いざ「良い天気」になると…

出典: 7DAYS Rain sparks chaos during rush-hour traffic in the UAE

ところが!雨が降って大雨になると、幹線道路は事故多発で大混乱状態に…。
ドライバーは雨天時の運転に慣れていないこともあって、事故が多発します。雨が降っただけで車が炎上って、日本では考えられません。

この一般道は、普段から平均時速120kmで走行しているドライバーばかりなので、多少減速したところで車間距離を開けることもなく非常に危険です。久々の雨で浮かれて水たまりに突進するドライバーも多いらしく。そういう雨に慣れていない童心に戻ってしまったドライバーの運転が、大きな事故につながるのだとか。

関東地方では雪が降ると電車の交通網が全滅しますが、ドバイでは雨が降っただけで都市機能がまひするのか…と、その脆弱(ぜいじゃく)さに驚きました。年に1~2度あるかないかの大雨ごときでは、目立って対策が講じられることもなく。新しい奇抜なビルを建てて話題をさらうのもいいけれども、こういうインフラ整備やドライバーへの安全運転の啓発も必要では…?と、コッソリ思ってしまいます。

違いから見えてくる、日本とUAEの共通点

いかがでしたか?
日本の生活で見聞きしたことのないことに「ヘェ~!」と驚くことは、UAEの生活でよくあります。

その反面、違いはあれど日本もUAEも同じだなぁ~と思ったことがあります。
それは、「日本もUAEも、それぞれの土地になじんだ進化を遂げて今がある」ということでした。よく考えたら、当たり前のことなのですが…。

例えば、遊牧民生活をしていた時代のUAE人は、暑い土地にナツメヤシの葉で涼しい家を造って生活したように、地震の多い日本では再生可能な木材を使って家を造り、障子や畳などで湿気や室内の温度を調節して暮らしていた――ということを考えると、違う国なのに、両国とも工夫を凝らして生活をしていることに、とても親近感を持てて。今に至るまでのそれぞれの国の生活スタイルや文化が、地理的、政治的あるいは宗教的な背景の中で変遷をたどってきたと考えたら、非常に興味深いと改めて感じました。

これ以外にも感じた興味深い違いは、また機会があったら…!

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