世界は「亀の甲羅の1枚の断片」?ネット住民が誤解していること

Suzie(スージー)

世界は「亀の甲羅の1枚の断片」?ネット住民が誤解していること

『インターネットは永遠にリアル社会を超えられない』(古谷経衡著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)には、インターネットを日常的に利用している人々、つまり多くの現代人が意識すべき大切なことが書かれています。

私たちはつい、Facebookについた「いいね!」の数や、YouTubeでの動画の再生回数などに惑わされがち。そこに大きな数字が出てくると、あたかも世のなかの大半の意見であると勘違いしてしまうわけです。

■ネットの世界は細分化が進行中!

しかし、「インターネットがこれほどまでに普及したにもかかわらず、日本におけるインターネット世界の特徴は、『マス』が存在しないことだ、といわれている」と著者は記しています。

「マス」とは「大量」「群集団」のことですが、分化が進んでいるのが日本のインターネット社会。横断的な「マス」と目されるような、また「マス」を対象としたようなサイトや共通言語は、ほとんど存在していないといいます。

■ネットの世界は「亀の甲羅」状態

亀の甲羅を見てみると、小さな六角形のブロックが隣接しながら、ぐるりとひとつの大きな甲羅︎になっていることがわかります。

著者によれば、この甲羅全体がインターネット世界そのもの。そして、それぞれの1ブロック=甲羅の断片が、「クラスタ(集団)」や「島宇宙」。

すなわち、趣味、話題、思想、製品、年代、その他もろもろで細分化された、「それぞれが同じような性質・性向を持った人々=ユーザー」が暮らす、インターネット上での空間。

ここで重要なのは、「マス」が存在しないネット空間にあっては、「1枚の亀の甲羅」のなかの世界こそがすべてであるということ。

だから、「1枚の亀の甲羅」を飛び越えて、「亀の甲羅同士」が横断的に結びつけられる「マス」的ななにかは、ほとんど存在していないといいます。

■ネットの世界に「マス」は不在

インターネットのどこかに自分が共感できる「1枚の亀の甲羅」を見つけ、そこに入り込むと、そこが「大多数」の住処であると思ってしまいがちだということ。

しかし実際には、インターネットの世界には「マス」は存在しない。そこで共感している人たちは、インターネットの外ではまったく無名であり、認知されていない。

だからこそ、インターネットのなかから発せられる声(書き込みなど)は世論を代表しているのではなく、あくまでもその「島宇宙」、つまり「1枚の亀の甲羅」というムラ的なコミュニティを代弁しているにすぎないと意識すべき。

このように本書は、つい忘れてしまいがちなことを再認識させてくれるのです。

(文/印南敦史)

【参考】

※古谷経衡(2015)『インターネットは永遠にリアル社会を超えられない』ディスカヴァー・トゥエンティワン

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