【会社辞めたい】どうして「逃げること」は悪いことだと思われているのか?
仕事のアテもなく、アラサーで仕事を辞めた愚かな私の話。
一晩かけて退職願を書きました。
辞めるなんてもったいないのかもしれない。いいや、この退屈な生活を変えなくちゃいけない。このレールにのった状態だと、望まない得体の知れないところに、連れて行かれてしまう。だから辞めなくちゃ!
未練なんてないのに、緊張しました。
明日これを出したら、いよいよ今のままではいられなくなる。仕事のアテはないけれど、留学すればなんとかなるだろう。なるんだろうか……?
もういやだ!
私は新卒で入社した会社を4年で退職しました。
仕事の意味すらわからないくせに、不平ばかりを口にして、嫌々働いていました。いえ、 嫌というよりも、退屈していました。意味がわからないのだから、好きも嫌いもありません。
上司は親切でしたが、仕事を任せてくれることはありませんでした。当時の私の仕事は、コピーとお茶くみ、たまに伝票整理。
今思えば、そんな社員をよくぞ置いてくれました! という、なんともありがたい会社だったわけですが、やはり何のために出勤しているのかわからなくなってきます。
それでもなお、「嫌だから会社を辞める」という発想はありませんでした。
無意識に、嫌で辞めるなんて逃げだと思っていました。 せめて前進するための退職でなければ、カッコがつかないと。
辞めたところで、経験といえるものはなにもない自分。親にはなんと言おう、同期で退職した者はまだ誰もいないのに、逃げて辞めるなんて言えるはずがない……そんな想いが巡ります。
一度は諦めた留学を真剣に考えるようになったのは、退職には丁度良い理由だったからです。
外国に行くだけで、何かが変わる気もしていました。 ありきたりな退職理由ですが、理由を見つけただけでホッとしました。 私は、逃げて仕事を辞めるんじゃないってね。
本当はつまらない毎日から、逃げ出したかった
社会の組織から外れてみると、やはり「自由」は会社員時代とは比べ物になりませんでした。
毎日、満員の電車に乗ったり、会社に管理されたりすることもありません! ただ、自由を享受するためには、強靭な心も必要でした。
自由になることで、選択肢は無限大に広がりましたが、そもそも私には何かを選べるほどの実績も実力もありませんでした。
自分が何がしたいのか、決定を先延ばしにするほど、お金も時間もなくなっていきます。あと何ヶ月、家賃を払えるだろう……。
気分が高揚するときもあるものの、不安に襲われたときは言いようのない孤独感に苛まれます。
自由になるということは、肩書きのない無防備な自分を突きつけられることの連続です。
一度は社会から逃げてしまったという劣等感と、先の見えない焦り。
自由を満喫できるほど、私はまだ強くはありませんでした。
あなたは「いい子ちゃん」でした?
学校では皆勤賞をもらう子は称えられました。
休まずに「続ける」ことが善という考え方は、私たち日本人の共通意識のひとつです。
たしかに携わった期間が実績を示す指標になることは事実です。勤続3年よりは、10年の人の方が、なんか質の高い仕事できそうに聞こえるもの。
会社、辞めちゃおうかなぁ。 一瞬、そんな想いがよぎっても、すぐに打ち消す人がほとんどでしょう。
でも、果てのない社会人生活上では、現在の生活をこのまま続けてよいのか、迷いが生じることがよくあります。
進むことが勝ち、立ち止まることは負け。
今この瞬間にも、世の中は前に進んでいます。もし立ち止まったら、あなたはその場所ではトップに立てなくなるでしょう。
あなたがサボっている瞬間に、ライバルは一件商談をまとめているかもしれません。 だから今日も前に進まなくちゃ!
それは社会で生きていくために、必要な意志のひとつです。
でももし、今の生活に疑問を感じたら、立ち止まる選択肢があってもよいはずです。疑問をもちながら進み続けることが、本当にあなたの望む人生でしょうか?
逃げた先で待ち構えていたのは・・・
「逃げ」はネガティブの代表ともいえる行為ですが、環境から逃げてみることは、ちょっとおすすめしたいです。
なぜなら、本当に大変なのは、逃げた後だから。
肩書きをなくして一人になったとき、自分を見失わなずに歩くことは簡単ではありません。
かくいう私も、退職後は迷走し、自分を見失いまくりました。おかげで履歴書の職歴欄はキッチキチですし、未だにいろいろと迷っています。
少しくらいのモヤっとした気持ちなんて無視してしまえば、環境にとどまっている方が楽に生きられるのかもしれません。
でも、逃げることが、自分と向き合うきっかけになることもあります。そのとき初めて出会う自分だっている。
今、「これが自分!」と思っている自分が、あなたの全てではないかもしれませんよ。
日本の女性が20〜30代で悩む人生観・恋愛観を平理以子(たいら・りいこ)さんが連載します。次回の記事もお楽しみに。