ナノスポンジを含んだジェルが大活躍!? 抗生物質が効かないMRSAを駆逐する (2/2ページ)
しかし、特定の部位で細菌の毒素を十分に取り除くためには、多量のナノスポンジをその場に供給する必要がある。ナノスポンジだけではすぐに拡散してしまって十分な役割を果たせない。そこでジェルの出番だ。
水とポリマーを使ったジェルにナノスポンジを含ませることによって、多量のナノスポンジを一ヵ所に保持することができるのだ。研究チームは、マウスによる実験で、『MRSA』に感染した皮膚の傷にナノスポンジとジェルによる治療を行った場合、なにもしていない場合と比べて明らかに傷が小さくなることを確認した。
また、研究チームは、このジェルによる治療が、身体の内部においても有効だと発表している。皮膚の下に注射した2日後でも、ナノスポンジの80%は同じ場所にとどまっていたというのだ。もしジェルを使わなかったとすると、ナノスポンジは周囲に拡散し、2時間後には20%しかその場に残っていないという。
耐性菌の出現は、抗生物質の多用が原因ともみられている。今後さらに耐性菌が増える恐れもあるため、医療において大きな問題となっているが、このナノスポンジのような、抗生物質とまったくちがう手法によって、その問題が解決されるかもしれない。
ちなみに、風邪はおもにウイルスによって起こる。抗生物質はウイルスには効かないので、風邪に抗生物質は効果がない。一時期、風邪にも抗生物質を処方する医師がけっこういたようだが(筆者も処方されたことがある)、こういった乱用が耐性菌の出現の原因のひとつになったのかもしれない。