大阪都構想の幕引きで橋下徹「維新の会」崩壊の危機 (2/2ページ)

デイリーニュースオンライン

 維新の党は19日の両院議員総会で民主系の松野頼久を選んだが、松野の器量では舵取りは荷が重いであろう。ちなみに松野は慶応義塾高校から慶応大学にエスカレーター式に進んでいながら卒業するのに8年もかかっているし、卒業後、日本新党の職員になるまでの6年間、いったい何をやっていたのか、さっぱりわからない。分不相応にも2000万円以上もするベントレーを乗り回し、鳩山内閣の官房副長官時代の平成2010年にはホステスと見間違うくらいド派手な妻素子の運転で広尾のラーメン屋に乗りつけ、駐車違反を起こしており、あまり素行が良いとは言えない人物だ。

 それはともかく、維新の党にはこれまでも野党再編を睨んで民主党との連携を模索する民主党系の松野や結いの党出身の江田憲司前代表らの「東京系」と、橋下改革の「抵抗勢力」だった労働組合を支持母体とする議員が多い民主党を嫌う、橋下子飼いの馬場伸幸国会対策委員長ら「大阪系」との路線の対立があった。だが、橋下の引退表明と松野の代表就任で「大阪系」の求心力が急降下し、相対的に「東京系」の勢力が強くなり、今後は民主党との連携が加速すると思われるが、「大阪系」のなかには「もし民主党と合併するなら、党を出る」と言い切る者までおり、分裂の火種となりそうだ。

 有権者というのは、現在の政治のどこがどう悪いのか具体的に指摘できないのに、常に漠然とした不満を抱いているものだ。それに乗じるように「新党」が生まれ、やがて消えてゆく。その繰り返しだ。1976年のロッキード事件により政治不信を背景に誕生した「新自由クラブ」、1993年の自民党の下野による“55年体制”の崩壊による「日本新党」や「新党さきがけ」、最近では「みんなの党」があるが、残っているものはひとつもない。もともと大政党での下積み生活が嫌いな連中が国民の受けを狙って思いつきで結成し、政権担当能力などなきに等しいのだから、いずれは存在意義を失い、雲散霧消するのも当然の成りゆきだ。現在の民主党の勢いを考えれば、維新に残ろうが、民主党に合流しようが、次の選挙で当選する可能性は限りなく低い。

 いずれにせよ維新の党もやがて同じ運命を辿るだろう。それが筆者の観測だ。

朝倉秀雄(あさくらひでお)
ノンフィクション作家。元国会議員秘書。中央大学法学部卒業後、中央大学白門会司法会計研究所室員を経て国会議員政策秘書。衆参8名の国会議員を補佐し、資金管理団体の会計責任者として政治献金の管理にも携わる。現職を退いた現在も永田町との太いパイプを活かして、取材・執筆活動を行っている。著書に『国会議員とカネ』(宝島社)、『国会議員裏物語』『戦後総理の査定ファイル』『日本はアメリカとどう関わってきたか?』(以上、彩図社)など。最新刊『平成闇の権力 政財界事件簿』(イースト・プレス)が好評発売中
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