第三十四回 日本がAIIBを蹴ったワケ。出資先としての魅力は? (2/3ページ)
これは、アジアをTPPで自分の経済圏に組み込もうというTPPと、真っ向勝負の展開となるでしょう。もちろん、TPPは自由貿易協定であって範囲が広く、何か特定の事業を推進するものではなく、AIIBはインフラ開発を行う与信機関ですから、機能も形態も全然違います。
とはいえ、この二つを比較すると、米中の陣取り合戦の帰趨が見えるのです。
で、その図を書いてみました。
これは参加国のGDPを米ドル建てで陣営ごとに足し合わせたものです。

AIIBは世界の過半数を占めるのに、TPPは世界の1/3くらいです。中国は、あっという間にこうした構造を作ってしまいました。世界の過半を影響下に置くということは、中国は立派な覇権国家になった。それと比べて、アメリカは墜ちたものよのう、なんていう記事が氾濫したのは、そのせいです。
で、焦ったアメリカに対して、日本が「まぁまぁ、我が国は付き合ってあげるからさぁ」と得点稼ぎをしたのが、前回の安倍首相演説だったわけです。中国に力の差を見せつけられた状態での日本の売り込みは、アメリカにとってみれば救いだったでしょう。
とはいえ、AIIBの実態をみると、こうした表面的な見え方とは違った側面も見えてきます。ちょっと上図を国別にブレイクダウンしてみましょう。

これをみると、両陣営筆頭国の米中の直接比較では、中国はアメリカに及ばず、AIIBは残りの部分に多くの比重があります。
そのうち、中国主導でこれからインフラ投資をして行こうという国は、そう多くありません。