吉田豪インタビュー企画:爆笑問題・太田光「ネットは罪、ホントになくなったほうがいい」(1) (4/4ページ)

デイリーニュースオンライン

「言ってるヤツがバカ」って発言をそのまま受け取られても困る

太田 あ、これネットか! それこそ安倍さんなんかもネットさえなければなんでもないんだけど、何日かあとにマネージャーに聞いて、「あれヤバいことになってますよ」って。

──あ、つまり『日曜サンデー』で「安倍っていうバカ野郎」と言って大炎上していたことにも全然無自覚だったんですか?

太田 そう。

──まあ、いつものことですからね(笑)。

太田 いつものことだから、「なんてことないんじゃない?」って言ったら、でも社長に怒られるから、ちょっと反省してるようにしとこう、みたいな。そもそも、お笑いの構造っていうのを取り違えてるようなところはちょっと感じるんだよね。たとえば俺が田中の頭を叩く。「それはイジメだ!」ってなるけど、一方では叩いてる俺がバカだなっていう、「なぜいま叩いた? あいつ頭おかしいだろ?」っていうことで笑ってる人が大半なのに、逆に叩かれてる田中を笑ってるっていう意識が多いことに驚いちゃう。安倍さんのことについても、こっちがバカなんですよっていう、そこまでのツッコミじゃない。

──「総理大臣でもバカはバカ」とか言ったら、「そう言うおまえのほうがバカなんだよ!」ってツッコミがほしいわけですね。

太田 そうそう。お前が言うな!っていう、それで俺が世間に嗤われる。そこまでで、セットじゃない。

──ツッコミを超える感じで怒られると「あれ?」っていう。

太田 うん。俺は村上春樹を批判するときも「クソつまんない、あんなもん!」って言うのは、「おまえが言うなよ、全然売れてねえくせに!」ってことじゃん。でもなんか、それもいちいち説明したくないんだけどさ。真正直にそう受け取っちゃったら、そりゃそうだけどさ、みたいなところがあるじゃない。わかっててそうしてるのかもしれないけど。

──作家の人と絡むときの太田さんの過剰なジェラシーの出し方が大好きなんですけど、あれを本気で受け止められても困るわけですよね。

太田 そうそう。お笑いって必ず「言ってるヤツがバカだ」っていうところで落ち着いてるつもりなんだけど、なんかうまくいかないよね。

──最近も執拗にピースの又吉(直樹)さんに絡みまくったじゃないですか。

太田 そうそう、だから又吉に「おまえわかってんな。自分の本の話をするときは俺の本のことまず言えよ」って言うのは、半ば本気もあるけど、あれを「後輩に向かって圧力をかけた!」って言われちゃうと……。まあ、そのとおりなんですけどってなるけど、そこを笑ってよっていうところはあるよね……笑えないのかな?

──放送で聴いていればそういう空気込みで伝わる部分が、ネットニュースとかで文字になると伝わりづらくなるじゃないですか。

太田 ああ、それはありますね。

──ネットニュースの弊害ってそこだと思うんですよ。空気をそのまま伝える能力がないし、注目を集めるためにタイトルが過激になって、事実とかけ離れていきがちっていうか。

太田 たしかにね。でも、そういうことって増えてるかもしれないね。パワハラだなんだ、なんでもハラスメントにするっていうのは、ふたりの関係性とかそういうの全部抜きにして、やられた事実だけを問題にするってことでしょ。ひどいことやってるほうが笑われてるんだっていう前提を全部抜いて事実だけ羅列すれば、「こんなひどいこと言いました」になっちゃうから、難しいっちゃ難しい。いま、人と人とのあいだにネットが入っちゃってるから。近い人でもそうだから、それは悲しいですよ。

──ケーシー高峰に「セクハラだ!」って怒るようなもんですよね。

太田 ネタ成立しないもんね。そんなの、あの人に生きていくなってことでしょ。

──ちなみにボクはネットがかなり好きなんですけど、そんなボクでも最近は面倒くさいと思うことがあって。ラジオの音声をそのままフルで動画サイトに上げるパターンは前からあったんですけど、最近は5分ぐらいだけ抜粋して、刺激的なタイトルをつけてアップされるようになって。そしたら、そこで名前を出されている本人が検索して見つけて「あれ違うよ!」って電話で怒られて、「いや、あれは10年前の時点でボクがラジオで話したことで……」みたいな説明をする羽目になったりで。

太田 そういうのがあるの?

──で、じつはそれで太田光代社長からも電話が掛かってきたんですよ。光代社長のこともラジオで話してるから自分で検索して発見したみたいで、「あれ、たぶん誰かが勝手にやってることでしょ? 私が抗議して消してあげようか?」みたいな話もあって。

太田 えーっ!! そういうの、どうなんだろうね? でもここんとこ、ふかわ(りょう)に殺人予告した人が捕まったりとかいろいろあるよね。……ふかわなんか殺しちゃえばいいじゃん。って言ったらまた問題になるだろ?(笑)

──ダハハハハ! で、そういう発言がそのままネットに流れると大問題になるんですよ(笑)。

<次回に続く>

プロフィール


爆笑問題

太田光

太田光(おおたひかり):1965年、埼玉県出身。1988年に大学の同級生の田中裕二と爆笑問題を結成し、時事問題も取り込んだ漫才で人気を獲得。テレビ、ラジオなどで活躍する他、著書も多数。爆笑問題としての著書だけでなく、太田個人で『マボロシの鳥』などの小説も発表している。近著は爆笑問題と映画評論家・町山智浩との共著『自由にものが言える時代、言えない時代』。6月3日には毎年恒例の時事ネタ漫才ライブのDVD『2015年度版 漫才 爆笑問題のツーショット』をリリース。

プロフィール

プロインタビュアー

吉田豪

吉田豪(よしだごう):1970年、東京都出身。プロ書評家、プロインタビュアー、ライター。徹底した事前調査をもとにしたインタビューに定評があり、『男気万字固め』、『人間コク宝』シリーズ、『サブカル・スーパースター鬱伝』『吉田豪の喋る!!道場破り プロレスラーガチンコインタビュー集』などインタビュー集を多数手がけている。また、近著で初の実用(?)新書『聞き出す力』も大きな話題を呼んでいる。

(取材・文/吉田豪)

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