吉田豪インタビュー企画:爆笑問題・太田光「ネットは罪、ホントになくなったほうがいい」(1) (3/4ページ)

デイリーニュースオンライン

世の中は「陰謀論」が好きすぎる!

太田 よく思うのは、たとえばバーニングにしろジャニーズにしろ、みんな勝手に想像して怖がりすぎてるんじゃなかな。ホントの怖さは知らないですよ、俺も。ついこないだもNHKで俺らの漫才ネタがダメだったっていう話が広まっちゃったんだけど、あれはラジオの裏話で言ったことがニュースになっちゃって。まだネットだけならいいけど、毎日新聞の社説までその話題を取り上げるみたいなことになっちゃって。そんな、籾井会長がわざわざネタチェックしてるはずないじゃんっていう。で、籾井会長も俺と似て、わりとひと言多いタイプだからさ(笑)。

──迂闊なんですよね(笑)。

太田 そうそう。俺、あの人の前でもさんざん言ったこともあるんだけど。

──本人の前で直接いじったらしいですね。

太田 うん。だけど、そのへんの漫才師を「けしからん!」とはさすがに言わないですよ。そこまで子供じゃい。洒落はわかりますよ。それはあまりにも深読みしすぎというか、陰謀論を世の中は好きすぎちゃって。そういう話は楽しいんだろうけど、そこまでキチッと陰謀できる世の中じゃない。

──つまり、直接的な圧力をかけられたことはないわけですね。

太田 うん。だって籾井会長が1個の番組全部、しかも漫才のネタまでチェックするなんてことをやれるほど器用じゃないですよ。

──そこまで暇でもないだろうし。

太田 暇でもないし。だから本当の圧力っていうのがあるのかどうかわからないけど、世間が思ってるような、そこまでのことには気が回ってる世界ではないと思うけどね。安倍(晋三)さんがどうのこうのって言われたりもするけど、国家がそんなことまで管理できないでしょ。だから、俺は『報ステ』の……。

──古賀(茂明)さんの降板騒動ですね。

太田 あの人は逆にちょっと考えすぎだなって思うほうだから。もっと事情は別にあるんじゃないかなって。テレビ局のお家の事情とか、スポンサーの事情とか、そういうことはたぶんキャスティングにも関わってくるだろうけど、国が直接どうこうしてキャスティングに介入するっていうところまでのものはやれないと思うけどね。

──だからこそ太田さんは、テレ朝の入社式でものびのびと古賀さんネタをイジることができたわけですよね。

太田 あれはみんなちょっと頭抱えてたけど(笑)。あのときは旬だったんだよね。で、テレ朝の上層部がみんないたもんだから、ちょっとそこに触れないのもなんかアレだから、場を和ませようとしたっていうところなんだけど。

──デビュー当時ほどの無茶はしなくなったけど、だからといって無茶をしないわけじゃないってことですよね。

太田 あれなんかも、テレビっていうのは中立なことを言ってほしいメディアだから、テレ朝的には、あんまり偏ったこと言う人はちょっとっていうことなんだろうし、よくよく考えてみたら『報ステ』なんてどっちかっていうと政府批判のほうが多いしね。むしろ、みんなが思ってる以上にヤバいことはほかにあるよとは思う。それはやっぱりスポンサーだよね。国じゃない。なおかつ、もっと言うと視聴者。俺が一番怖いのは、たとえば籾井会長にしろ安倍さんにしろ、本人たちは全然怖くないけども、それを取り巻くシンパの反応のほうだよね。

──そっちのシンパの数が多数になる時代になったら怖いってことですよね。

太田 そうそう。権力者はなんにも言ってこないけど、国民のほうが黙らせようとしてくるっていう。たとえば街宣車が来るとか、そういうことのほうが俺たちにとっては一番圧力に感じるし、逆に言うとコントロールしやすい国だろうなと思うけどね。権力者にとっては。自分が言う前に国民が国民を黙らせてくれちゃうわけだから。

──「お前は非国民だ!」って勝手に怒ってくれて。

太田 そうそうそう。それこそネットの炎上だとか、なんかそういう正義感っていうのは勝手に盛り上がっちゃうじゃない。今度は左側の連中も、俺なんかにしてみればそんなじゃないのに、「NHKに言論の自由がない!」「国家の陰謀だ!」みたいなことを国民の側がやるから、なんかちょっとややこしくなっちゃうんだよね。

──要は太田さん、安倍首相が大好きな人にも大嫌いな人にも引っかかってるってことですよね。

太田 うん。だからネットは罪だよね。ネットはホントになくしたほうがいいと思う。

──ホントに太田さんはネット嫌いですよね。ただ、これネット用のインタビューなんですよ(笑)。

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