究極の抹茶づくりで「消えゆくモノ」に光を (2/2ページ)

FUTURUS

しかしコストパフォーマンスが悪く、わらを均等に広げるには高度な技術が必要だ。しかも時代の流れとともに、国内産ヨシの需要が減り職人も高齢化しているため、現在『ほんず製法』を続ける農家は、全国でも数軒程度にすぎない。

ヨシは森林同様に、人の手でヨシ原を管理しなければ、荒れた藪になってしまう。2月にヨシを刈って3月にヨシ原を焼くことで、虫や他の雑草を除去でき、翌年また健康で良いヨシが生えてくるという。

孫右ヱ門では、良質で知られる京都市伏見区のヨシ原の葦を使用している。4年前にヨシ焼きは廃棄物処理法の野焼きに当たり禁止されたが、ヨシ原を残すため伏見の市民団体が中心となって、熱心にヨシ焼きの重要性を訴えた。そして2年後に「河川管理に必要な廃棄物の焼却」として認められ、新たな形でのヨシ焼きをスタートできた。

 

■ 消えゆく伝統を新しい時代へ

“豊葦原の瑞穂の国”と、古事記に記された日本の美しく豊かな風景は、消えゆくモノになってよいのだろうか。一度途絶えたモノを取り戻すことは難しい。孫右ヱ門が最高級の抹茶を追求するための『ほんず製法』にヨシ原は不可欠であり、また『ほんず製法』を継承し続けることがヨシ原を守ることにもつながっている。

伝統の消えゆくモノをいかに新しい時代に応じた形に昇華するか。孫右ヱ門は、茶の魅力を次の世代に伝え、新たな時代に応じた茶文化を提案することにもチャレンジしている。

新製品のフレーバーティーは、これまで市場に出回ることのなかった碾茶にローズピンクをブレンド。碾茶独特のすっきりとした旨みに、ローズの上品な香りが贅沢に楽しめる。美や健康に関心の高い、新たなターゲットの心を揺さぶる商品だ。

究極の抹茶は、効率を優先させずに地道な仕事を大切にしている人、また地域の自然や資産を守る人たちに支えられている。茶はただ喉を潤すだけでなく、人とのコミュニケーションの場をつくるもの。話題の一つとして、このような背景にも心を寄せて味わいたい。

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