海外では当たり前…日本でも救急車が一部有料化になるかも!?

平成27年5月11日、財務省に掲載された財政制度分科会の資料において、“救急出動の一部有料化を検討すべきではないか”との記載がありました。一部有料化とはどういう意味なのか。また諸外国との比較も交えながら、ファイナンシャルプランナーの筆者が解説します。
■一部有料化の“一部”とは?
今回検討されつつある救急出動の一部有料化では、一例として“軽症患者における有料化”を挙げられています。平成25年の救急出動件数は約591万件、実際に搬送された人数は約534万人でした。10年前と比べ救急出動件数は2割ほど増加していますが、救急搬送者のうち49.9%が軽症でした。
総務省消防庁の調べでは、平成25年における119番通報から病院到着までの全国平均時間はおよそ39分で、10年前と比較すると約10分遅くなっており、増加する出動要請に対応するため遠くの消防署から救急車を向かわせるケースが増えたのが主な理由となっています。
有料化が検討された理由は、“本当に救急車を必要としている患者への対応が遅れてしまい命を救えない可能性もあるため”とされています。
■諸外国の救急車料金は?
アメリカなどでは、支払い能力がない場合「全く治療を受けられなかった」という話はよく聞きますが、救急車を利用するには一体いくらぐらい必要なのでしょうか。
ジェイアイ傷害火災保険株式会社の2015年5月25日時点のデータより、主要な都市の一例を挙げてみました。
・ロサンゼルス・・・公営:基本料金41,700円+走行加算1,500円/マイル 民営:同程度
・メキシコシティ・・・公営:無料 民営:43,300円
・サンパウロ・・・公営:無料 民営:17,800~59,300円
・ロンドン・・・公営:無料 民営:基本料金26,100円(5マイルまで)+走行加算1,100円/マイル ※日中の場合
・パリ・・・公営:無料 民営:9,300円+走行加算300円/km
・ローマ・・・公営:無料 民営:32,500円+走行加算300円/km
・上海・・・公営:4,500円 民営:通常利用しない
・シンガポール・・・公営:無料 民営:10,800円~15,500円
・マニラ・・・公営:無料 民営:基本料金9,800円+走行加算1,400円/1時間
・コールドイースト・・・公営:基本料金90,700円(50kmまで)+走行加算1,300円/km 民営:通常利用しない
いかがでしたか? 日本と違って民営で救急車を呼べる国がたくさんありますね。そして有料であれば、為替レートなどの影響もありますが、かなりの金額が必要だと感じたのではないでしょうか。海外に行くときには“海外旅行保険”などの備えが必要であるとともに、やっぱり日頃から健康を一番大切にしたいですね。
(鍛治田祐子)
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