ドローン少年を暴走させた“生主”逮捕の舞台ウラ (2/2ページ)

デイリーニュースオンライン

若者の承認欲求を利用する「悪い大人」たち

 これと似たようなケースがある。3月に30代の男性が「TwitCasting(通称ツイキャス)」を使い、無免許で自動車を運転する様子を配信したとして逮捕されたのだ。男性は「インターネットタレント」を自称し、ドローン少年と同じように一部ネット上の有名人だった。逮捕後、男性は「注目を集めたかった」などと供述し、反省しているかのような態度を見せていた。

 ところが、その翌月に男性は無人の交番内でダンスしている様子を生配信し、建造物侵入の疑いで再び逮捕されてしまった。すでに現在はイベント出演などに復帰しているが、自身のTwitterに「どぉも!犯罪者でえぇ~す?」などと悪びれずに書き込んでいる。彼は有名になりたいという欲望とともに過激な行動を求める「囲い」に乗せられている部分があり、これも承認欲求が深く絡んだ事例といえるだろう。

 これらの騒動は男性ユーザーによるものだが、女性ユーザーも同様だ。女性の場合は生配信サービスが始まった当初から、視聴者の興味をひくために配信中にヌードになってしまう「脱ぎ配信」などが問題視されていた。リストカットや半裸で暴れまわる動画を配信したケースもある。これも金銭が目的という場合は少なく、大半が視聴者からの称賛を浴びたいがための行動だ。

 たとえネットの片隅でも「必要とされる」「輝ける」ということは彼らにとっての救いだ。それを維持するため、ある者は警察沙汰を起こし、ある者はケンカを見世物にし、ある者は衣服を脱ぎ捨てる。

 彼らを愚かだと笑うのは簡単だが、その状況に追い立てているのはパソコン画面の向こう側にいる「囲い」の人々だ。チヤホヤして承認欲求をいたずらに刺激し、時には金銭まで援助してバカをさせる。相手の人生や家庭環境が崩壊しようと知ったことではない。一つのエンターテインメント……というよりも暇つぶしとして面白がり、他人の生活を消費しているようなものだ。芸能人のゴシップと似たようなものだが、配信者たちはそれに見合った報酬や評価を得ているわけでもない。

 これはネットや生配信サイトの悪玉論につながってしまいがちだが、その裏側にあるのはもっと人間の根源的なもの。必要なのはネット規制や若者批判ではなく、彼らに向き合う教育や環境づくりだろう。大手メディアや識者がそこから目をそらし続けている限り、問題の本質にはたどり着けないのではないだろうか。

(文/佐藤勇馬)

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