「老化リセット」が可能な未来も? 筑波大がミトコンドリアの研究で新仮説 (1/2ページ)
先日、筑波大学をはじめとする研究チームは、人間の加齢に伴うミトコンドリア呼吸欠損の原因に関する新仮説を発表した。これは京都大学iPS細胞研究所や理化学研究所と共同で進められ、電子版科学誌『サイエンティフィック・リポーツ(Scientific Reports)』に掲載されたもので、新たな仮説は、ミトコンドリア呼吸活性低下の原因が突然変異ではなく核遺伝子の可逆的変化であることを明らかにし、このことは細胞の初期化により老化もリセットできる可能性を示唆している。
■ 老化現象はミトコンドリアDNAが原因?
ミトコンドリアは、“細胞内のエネルギー工場”として知られる細胞小器官で、呼吸により生命活動のエネルギー源となる化合物を合成している。ミトコンドリアには核にある遺伝情報とは別に、独自の遺伝情報(ミトコンドリアDNA; mtDNA)が存在しているが、このmtDNAに突然変異が生じると、呼吸活性低下からエネルギー欠乏となり、エネルギー需要の多い脳や筋肉を中心に脳卒中、知能障害、筋力低下、高乳酸血症などを発症する。これらの疾患はミトコンドリア病と総称され、突然変異が原因となる場合は先天的で母親から子どもに遺伝する。
また、定説とされる『老化ミトコンドリア原因説』によると、私たちの老化現象にもmtDNAの突然変異が関与している可能性が指摘されている。加齢に伴う呼吸活性低下や老化そのものは、年齢を重ねるとともに後天的にmtDNAに蓄積する突然変異が原因であると考えられてきたのだ。
しかし、研究チームは、この仮説の根拠となるmtDNA突然変異と老化との因果関係を直接証明する実験結果が報告されていないこと、老化は突然変異のような偶発的プロセスで起こるとは考えにくいこと、の2つの理由からこの定説を再検証した。
■ iPS細胞にする初期化で原因は可逆的な変化だと判明
研究では検証のために胎児から12歳の若年グループと80歳から97歳の老年グループ、それぞれの繊維芽細胞を使用し、老化の仕組みに関するいくつかの点を明らかにした。