頼りになるけどココには気をつけて!「高額療養費制度」の注意点
医療機関で医療を受けた場合、私たちは一部負担金として医療費の3割(70歳未満)を負担します。
この計算でいくと100万円の医療費がかかった場合、30万円を負担しなければなりませんが、健康保険には『高額療養費制度』というものがあって、1ヶ月の私たちが負担する上限額が決まっています。
『高額療養費制度』はありがたい制度であると同時に心強い制度でもあるのですが、『高額療養費制度』も万能というわけではありません。
今回は、社会保険労務士の筆者が『高額療養費制度』の注意点についてご説明します。
■平成27年から制度が見直され負担が増えた人も
昨年までの『高額療養費制度』は、『上位所得者』『一般』『低所得者』の3区分に分かれていました。
『上位所得者』が100万円の医療費がかかったとしても、本人の1ヶ月の負担は15万5,000円で済みました。
しかし、平成27年1月からはこの3区分が、
(1)標準報酬月額83万円以上
(2)標準報酬月額53万~79万円
(3)標準報酬月額28万~50万円
(4)標準報酬月額26万円以下
(5)低所得者
の5区分となりました。
100万円の医療費がかかった場合の自己負担額は(1)は25万4,180円、同じく(2)は17万1,820円となり、昨年までと比べて(1)は10万円程度、(2)は2万円弱自己負担額が増えたことになります。
但し(4)の場合は5万7,600円となり自己負担額が下がりました。
(3)の場合は8万7,430円、(5)の場合は3万5,400円で昨年までと変わっていません。
■『多数該当』に当てはまらない場合
病気によっては1ヶ月や2ヶ月で治療が終了しないこともあります。
『高額療養費制度』では直近の12ヶ月(1年)で3ヶ月以上高額療養費を受けた場合は4ヶ月目からは自己負担額が下がります。
これを『多数該当』といいます。
先程の区分でご説明すると(1)の場合4ヶ月目からは14万100円、(2)の場合9万3,000円、(3)・(4)は4万4,400円、(5)は2万4,600円となります。
少しはほっとされた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし問題があります。
それは治療が継続していても自己負担額が『高額療養費』に該当しない程度でずっと推移する場合です。
例えば、(3)の区分の場合、毎月の自己負担額が8万円弱ぐらいでずっと続く場合です。8万円の自己負担額で1年間治療を続けると96万円必要です。
一方、当初3ヶ月間の自己負担額が8万7,430円で4ヶ月目から『多数該当』になると1年間の自己負担額は66万1,890円で済みます。
その差は29万8,110円となり決して小さくはないということがわかります。
■解決策として
まずは自分がどの区分に該当するのかをきっちり知っておくことです。
(3)に該当する人が『高額療養費』に相当する程度の治療を1年間続けるとなると70万円から100万円ぐらいの費用が必要になります。
これを保険で用意するのか貯金で用意するのかということを考えておきましょう。
但し、国民健康保険以外であれば健康保険から『傷病手当金』(被扶養者はなし)ももらえますし、組合健保であれば『付加給付』を行っているところもありますのでこれらの制度についても押さえておいて下さいね。
いかがでしたか?
医療費の不安から闇雲に保険に加入する方もいらっしゃいますが、その前にきっちりと“健康保険について知る”ことが大切です。その上でいまの家計の状態を見て足りない分について手だてを考えておくことが重要となります。
(中村真里子)
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