東條英機のひ孫がユダヤ人から涙ながらに握手されたワケ

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シドニーで行われた「戦争の遺産」をテーマにした番組に出演
シドニーで行われた「戦争の遺産」をテーマにした番組に出演

 先日、とある番組収録のため、オーストラリアのシドニーへと向かうことになった。その番組とは、地元公共放送局SBSの「Insight(真相を見抜く力)」というトーク番組。今回、戦後70年ということもあり、同番組では「戦争の遺産」というテーマで、当時の各国首脳や関係者の末裔、並びに当時の歴史に関わる多くの方たちで、「先の大戦を改めて振り返りたい」ということで、東條英機の曾孫にあたる私にもそのお声がかかることになった。

 実際には、その中で自分がどこまで有効な発言が出来たのかは分からないが、少なくとも、今回の企画はそれなりに意味のあるメンバーで臨んでいるだけに、相応の成果もあったのではないかと感じている。例えば、その主要パネラーには、私のほか、米国トルーマン大統領のお孫さん、旧ソ連スタリーンのひ孫さんといった、当時の首脳の末裔たちがその名を連ねている。実際には、各々の都合の関係で衛星を通じての対面となってしまったが、それでも当時のあらゆる利害を、世代を越えて共感し合うというのは、充分、インパクトのある出来事たった。

 もちろん、それ以外のパネラーや参加者も実にさまざまで、ヒットラーの弁護人を父に持つドイツ人や日本軍捕虜収容所に収監されていた方を父に持つオーストラリア人、さらには、アウシュヴィッツ収容所から生還された方たちなども参加されている。

 詳しい内容についてはまだ放送日前のことなので差し控えておきたいが、こうしたメンバーで臨んでいるだけあって、時には生々しい発言も多く、非常に臨場感のある収録となった。ただ、何より個人的に有り難かったのは、意外にも東條英機を強く非難する声は少なく、中には東條英機に対する深い理解を示してくれた方もいた。

日本軍がユダヤ難民を救っていた

 例えば、番組内で少しだけ東條英機にまつわる功績に触れられる部分があったのだが、そのうちの一つに、満州に逃れてきたユダヤ人の救済に関与していたという話がある。それは、昭和13年(1938年)2月のこと。ナチス・ドイツの迫害から逃れてきた大量のユダヤ難民たちが満州国の国境近くにまで及んだことがあった。しかし、当時のソ連も満州国もこれを拒否。約2万人近くのユダヤ人たちが厳しい風雪の中、足止めを余儀なくされてしまったことがあった。すると、関東軍の樋口季一郎少将は、人道的観点から、この救済を決意し、結果、多くの難民が救われたことになった。

 無論、この話の最大の功労者は樋口少将なのだが、実はこれを受け入れたのが、当時、関東軍の参謀長を務めていた東條英機中将であった。実際には、どこまで曾祖父が関与していたのかは定かではないが、少なくとも、こうした出来事に責任を負う立場にあったのは間違いなく、番組収録後、ナチスによる迫害当時を知るユダヤ人の方から、涙ながらに握手を求められ、「あなたのひいおじいちゃんは正しいことをしたのよ」と言われたのは、何だか救われる瞬間だったのは間違いない。

 現在でも先の大戦においてさまざまな禍根を残しているが、それでも多くの歴史認識は特定の政治利用のもと引用されるケースが少なくない。それがこの問題をもっとも複雑化させている要因だと思っているが、私としては、出来れば、こうした当時に関わる方々と健全な友好関係を育むことで、それなりに前向きな風潮を創り出すことが出来ればと思っている。番組は今年8月の放送を予定している。

著者プロフィール

toujyou

一般社団法人国際教養振興協会代表理事/神社ライター

東條英利

日本人の教養力の向上と国際教養人の創出をビジョンに掲げ、一般社団法人国際教養振興協会を設立。「教養」に関するメディアの構築や教育事業、国際交流事業を行う。著書に『日本人の証明』『神社ツーリズム』がある。

公式サイト/東條英利 公式サイト

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