【サッカー女子W杯】なでしこジャパン快進撃で「世代交代」強要の是非

デイリーニュースオンライン

注目の決勝戦は7月6日(月)午前8時キックオフ(日本時間)
注目の決勝戦は7月6日(月)午前8時キックオフ(日本時間)

 カナダで開催中のサッカー女子ワールドカップ(W杯)。2日のイングランド女子代表戦に勝利して、日本女子代表の「なでしこジャパン」は決勝戦に駒を進めた。優勝候補国が別ブロックに集中した幸運はあれども、ここまで大健闘と言っていい。それというのも、大会前の下馬評が芳しくかったから。根拠は、<世代交代の失敗>だ。

「なでしこの失敗…世代交代を阻んだ成功体験の呪縛」(6月5日産経ニュース)
「世代交代失敗のなでしこ アギーレJAPANの二の舞との声」(6月30日東京スポーツ)

 など、戦前の論調は押しなべて厳しいものだった。かくいう筆者も「ほぼ新戦力の積み上げがなく、主力が年をとっただけ。早期敗退もあり得るな」と思っていたのだから、不明を恥じるほかない。

 今回の女子日本代表23名中、17名が前回大会と同じメンバー。スタメンはほぼ同じと言っていいほど。ビジュアルの良さ(注1)も含めて期待された猶本光や田中陽子や京川舞ら<ヤングなでしこ>は、遂に召集されなかった。澤穂希を外すなど、一時は世代交代を必死に模索していた佐々木則夫監督も、いざ大会が迫ると決断を下す。宮間あや、大野忍、阪口夢穂、岩清水梓、川澄奈穂美、鮫島彩そして澤という、お馴染みのベテラン勢を代表に招集したのだ。そして今大会のなでしこに楽勝は無く、一戦一戦、粘り強く闘い抜いて勝ち進んでいった。

「結局ヤングなでしこ達は、実力でベテランの席を奪うことができなかった。佐々木監督は、現実を直視しただけです」(サッカーライター)

「世代交代」強要の愚

 サッカー界は現在の実力より将来の伸びしろを重んじて、多少の差なら若い選手を選ぶ(注2)風潮がある。いやサッカーに限らず他のスポーツや企業経営の場でも、「世代交代」は絶対的な善であり、抵抗する者は「悪」とされがちだ。

 その神話に囚われたかユニクロ(ファーストリテイリング社)の柳井正会長兼社長(56)は、53歳のときに自ら選んだ後継者に社長を譲る。しかし業績の悪化等から、3年後には再び社長の座に復帰した。

 また自動車部品メーカー・ユーシンの田邊耕二社長(80)は、「社長公募」等でたびたびメディアを賑わせているが、いまだに候補の選定に迷っている。

 永遠に若く、強い人間は居ないから、世代交代は必要だ。しかし力で下が上に取って変わらなくては意味がない。例えば実力が追い付かなくても、ポジションを与えれば「地位が人を作る」場合もあるだろう。しかし国の名誉を背負った代表チームや、社員やその家族の生活を背負った経営者の場合は、世代交代の美名に隠れて実力無き者を引き上げてはいけない。

 逆にいえば試合に負けたり、経営が傾いたりしたら、どんな実績があろうと外されなければならない。澤を始めとしたレジェンドたちを長く見続けるためにも、なでしこジャパンよ……勝ち続けろ!

(注1)ヤングなでしこ…確かに美少女が多かった。
(注2) 若い選手を選ぶ…クラブでは「年俸が安い」のも大きな理由。

著者プロフィール

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コンテンツプロデューサー

田中ねぃ

東京都出身。早大卒後、新潮社入社。『週刊新潮』『FOCUS』を経て、現在『コミック&プロデュース事業部』部長。本業以外にプロレス、アニメ、アイドル、特撮、TV、映画などサブカルチャーに造詣が深い。DMMニュースではニュースとカルチャーを絡めたコラムを連載中。愛称は田中‟ダスティ”ねぃ

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