首謀者は海外逃亡…京都の高僧まで登場する佐川印刷事件の謎 (2/2ページ)
著名なモンゴル出身力士の名前も浮上
その一例が、名刹の高僧が関与していたこと。「口座を貸しただけ」と、高僧はいうのだが、その資金の一部で別院を新築。疑いは残り、家宅捜索先となった。
口座を利用したのは、シンガポールでサーキット場を建設する名目で資金を引き出した運営会社代表だが、佐川印刷はこの人物の関与するレースチームのスポンサーになっていたことがあり、元財務担当役員以外にも親しく付きあっている役員がいた。
ゴルフ場買収資金を調達していた経営コンサル代表もそうで、「京都の名門」である代表は、政財界に幅広い人脈を持っており、そうした縁で佐川印刷の顧問に就いていた。
突如、登場するモンゴル金融機関への約4億円も不可解だが、「著名な大相撲のモンゴル出身力士(既に引退)の関係先」(金融関係者)だという。
高僧に京都の名家にレース関係者にモンゴル出身元力士……。
32年間、コツコツと佐川印刷で務め上げて出世した元財務担当役員が、自らこんな人脈を築き、何らかの目算があって資金を流し続けたとは考えにくい。
本人の意思だけではなく、誰かの何らかの意図を代行したのではないか──。
そんな見方もあり、すべてを解明するには、本人を召喚するしかないが、今のところ、居場所さえ確認できていないようで、長期戦を覚悟しなくてはならないようだ。
- 伊藤博敏
- ジャーナリスト。1955年福岡県生まれ。東洋大学文学部哲学科卒業。編集プロダクション勤務を経て、1984年よりフリーに。経済事件などの圧倒的な取材力では定評がある。近著に『黒幕 巨大企業とマスコミがすがった「裏社会の案内人」』(小学館)がある