軍事オタクの撮影行為に迷惑する女性自衛官…中には「盗撮」被害も

デイリーニュースオンライン

写真はイメージです(陸上自衛隊/防衛省)
写真はイメージです(陸上自衛隊/防衛省)

 軍事オタクにとってのヒーローは自衛隊、ひいては自衛官たちだ。“2011年の東日本大震災”では、自衛官たちの活躍がメディアにより報じられた。

 危険な現場で文句ひとついわず淡々と任務をこなす。頭脳明晰、体力あり。根性が座っている。だから言われなき批判に晒されても黙々と耐えている──軍オタたちがどんなに努力しても持つことのできないすべてを自衛官たちは持っている。

 そんな憧れのヒーロー、自衛官たちとオタクたちの邂逅の場、それが自衛隊の広報イベントだ。ここでオタクたちは自衛官と触れ合い至福のときを過ごす。しかし自衛官にとって彼らオタクの存在は迷惑している節がある。関東にある陸上自衛隊駐屯地で勤務する女性3等陸曹(26)が明かす。

「目をギラギラさせて、『記念ショットお願いします』と言って近づいてきます。それも腋臭かなと思うような臭いを漂わせて……。その様子を見ていた同僚の話では心なしか前を膨らませていたとか。もしかしたら腋臭ではなく精液臭かもしれませんね。気持ち悪いです……」

 好きな兵器に囲まれたなかで女性隊員の制服姿に欲情していても、まだ断りを入れての撮影ならマシだ。なかには広報イベントではない平日、望遠レンズで遠くから自衛官たちの作業の様子を無断撮影し、それをTwitterなどSNSに無断でアップするオタクもいる。

「自分と思われる姿がTwitterに出ていると同僚から聞きました。『こっちみてる』とかネットで実況されていて。公務員だから勤務の実態を撮影されても文句言えない立場かもしれません。でもいつも誰かにみられていると思うとストレスも溜まります」(海上自衛隊基地・海士長)

陸幕関係者「マニアの方を含めた“戦い”も想定」

 だが本サイトが以前、伝えたようにオタク、とりわけ軍オタは自衛隊に敬意を払い、部隊の行動サイクルを悟られないように写真をSNS上にアップする際は最大限配慮を払うなど高い意識を持って行動している。

●関連記事:『鉄オタよりも厳しい軍事オタクの掟とルール…自衛官と遭遇したら「ご苦労様です」と挨拶』

 こうしたオタクたちの動きについて陸上幕僚監部関係者は本サイトの取材に次のように述べた。

「今、自衛隊全体で情報保全に注意を払っている。軍事マニア方が極めて高い保全意識を持って活動を続けておられることはただただありがたい。頭の下がる思いです」

 しかし、この陸幕関係者がいう“ありがたい”は政治的な思惑もある。続けて陸幕関係者が語る。

「自衛隊の理解者であり応援団でもあるオタクの方たちは活用できる。平時なら広報で。いざ有事なら情報戦で。その方面の研究も実はしています。サッカーのサポーター同様、軍事マニアの方たちも含めての、“私たちの自衛隊”ですから」

 平和な時代だからこそ、オタクたちは広報イベントの際、女性自衛官に近づくこともできる。だが、いざ有事になればとても自衛隊はそんな機会を持ってはくれないだろう。

 自衛隊の権限拡大化に繋がる新安保法制が憲法違反との指摘を受けている今、オタクたちをも含めた自衛隊が想定する“総力戦”はどこか戦前の「国家総動員法」に通じるきな臭い危険な香りがプンプンする。海外の戦地に赴く可能性も出てきた自衛官たちにとっても、オタクが発する悪臭のほうがまだマシなのかもしれない。

(取材・文/鮎川麻里子)

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