米国の燃料資源に変化?脱石炭で天然ガスがトップに躍り出た
米SNL Energyによると、2010年に米国で燃料資源として最も多く使用されていた石炭の占める割合が2015年には14%減少、代わって天然ガスの割合が22%から31%へと大きく増加している。

その結果、2015年の米国における電力や燃料用資源では1位が天然ガス、2位が石炭、3位が原子力、4位が再生可能エネルギーの順となった。
米国で天然ガスの利用が首位となったのは初めてのことで、その価格の推移を見ても昨年1~2月をピークに下降傾向を示していることがわかる。

■ オバマ政権が安価なシェールガスに舵
こうした背景には温暖化対策の検討が連邦政府を中心に進んでいることが挙げられる。昨年6月にはオバマ米大統領が石炭火力発電所に対する厳しい規制案を発表した。
発電部門からの二酸化炭素(CO2)排出量を2030年までに30%削減するというものだ。CO2を回収して貯留する手段がなければ、事実上、石炭火力発電は存続できない。
共和党や化石燃料関連の産業界などからは反発の声が上がったものの、EPA(米環境保護局)などによって周到に準備が進められてきたという。
具体的には火力発電における“脱石炭化”を進めており、シェールガスの利用拡大に伴う天然ガス価格の低下に加え、大気有害物質等の排出規制強化によって石炭火力の経済的優位性が失われつつあり、脱石炭が経済的に有効な温暖化対策としている。

IEA(国際エネルギー機関)によれば米国内の天然ガス価格は欧州の4分の1以下、日本の6分の1となっている模様。
シェール革命でエネルギーの自給拡大に成功した米国は2018年には天然ガスの純輸出国になることが見込まれるほか、石炭から天然ガスへのシフトを加速させる傍らで欧州への石炭輸出を拡大したことで、欧州では石炭による火力発電への依存が深まりつつあるそうだ。
■ 日本はベースロード電源に石炭を活用
いっぽう、資源の少ない日本の場合は多様なエネルギー源をバランスよく利用する必要があることから、石炭火力の有効活用は重要な課題となっており、実際1990年以降、石炭火力発電を増やし続けている。
温室効果ガスの排出量が大きいという問題があるが、地政学的リスクが化石燃料の中で最も低く、熱量当たりの単価も化石燃料の中で最も安いことから、安定供給性や経済性に優れた重要なベースロード電源の燃料として再評価されており、高効率石炭火力発電の有効利用等により環境負荷を低減しつつ活用していくエネルギー源に位置づけている。
『エネルギー基本計画』でも石炭を“重要なベースロード電源”と位置づけ、原発の新設が見込めない中で石炭火力の建設計画が相次いでいる。
これは火力発電の拡大に伴い、中東などからの天然ガス輸入で経済負担が増大しているためだ。
こうした日米間のエネルギー政策の方向性の違いはシェールガスの掘削技術が普及した米国と、元々資源を持たない日本との条件差に尽きる。
東京電力福島原発事故のあと、電源として化石燃料に依存する割合は震災前の6割から9割に急増。
現在、日本は原油の83%、LNG(液化天然ガス)の30%を中東地域からの輸入に依存しており、中東地域が不安定化すると、エネルギー供給面で甚大な影響を受ける可能性が大きい。
■ 資源を持たない日本は水素で世界をリード
そうした中、シェール革命で天然ガスを豊富に生産可能となった米国がようやく日本向けに安価なシェールガスの輸出を認め、2017年から本格的に米国産のLNGが供給される見込みとなった。
これにより、火力発電のための燃料資源として天然ガスの優位性が高まり、冒頭に述べた米国同様の燃料資源構成に近づいていくものと予想される。
しかしながら、輸入資源への依存体制には常にリスクが付きまとう。
こうした状況を俯瞰してみると、エネルギー資源の自給率が著しく低い日本がいかに早期に再生可能エネルギー由来の『水素』で世界に打ってでる必要性があるかが、改めて見えてくるという訳だ。