【世界文化遺産候補】女人禁制の神秘の島「沖ノ島」は古代日本の原点的な存在

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女人近世の地として知られる沖ノ島も候補に
女人近世の地として知られる沖ノ島も候補に

 文化庁の審議会によれば、福岡県の「宗像・沖ノ島と関連遺産群」を再来年の世界文化遺産に推薦するという。「宗像・沖ノ島と関連遺産群」と言えば、以前、私も少し触れたことのある福岡県の宗像大社のこと。ここは宗像三女神(むなかたさんじょ)と呼ばれる三柱の女神が降臨されたと伝えられる伝承地で、沖ノ島はその内の一柱の女神を祀る、まさに聖域中の聖域となっている。

 とりわけ、沖ノ島は「女人禁制の地」としても知られ、男性でもめったに上陸することが許されていない。このため、その存在は非常に神秘的なのだが、実は、私は平成23年(2011年)に一度上陸することに成功している。理由は、あの東北地方太平洋沖地震の地鎮祭のために特別参拝団が結成されたからだ。私の場合、当時のメンバーにお声がけいただき、結果、上陸を果たすことができた。これは非常に貴重な経験だったので、私も少しこの当時の経験を振り返ってみたいと思う。

 そもそも、宗像大社はこの三柱の女神になぞらえて、三社の神社から構成されている。市杵島姫神(いちきしまひめのかみ)を祀る辺津宮(へつぐう)に、湍津姫神(たぎつひめのかみ)を祀る中津宮(なかつぐう)、そして、田心姫神(たごりひめのかみ)を祀る沖津宮(おきつぐう)だ。

 辺津宮は、普通に宗像市内に鎮座しているため、こちらが一番交通の便がよく、実際、社殿も社地も非常に立派で、多くの参拝客が訪れている。このため、一般的に宗像大社と言えば、こちらの辺津宮と思う方は少なくないだろう。そして、中津宮は大島という響灘(玄界灘)の沖合約10kmにある島にあり、こちらはフェリーか海上タクシーを使うことで参拝することができる。

 そして、最後に沖津宮があるのがこの沖ノ島で、それが冒頭でお伝えした女人禁制の神秘の島になる。こちらは非常に重要な聖域となるため、上陸するにしても海中禊をしてからでないと上陸することは出来ない。しかもその姿はフンドシをつけることもなく、一糸まとわぬ全裸を指す。そして、ここでは神職一人が約10日交代でお仕えされており、海の状況によって、それ以上の滞在を要することもあるという。

 そんな島内では緩やかな傾斜のある参道を上り、20分程度歩いた先に社殿がある。社殿そのものは一般に見る神社の姿と大きく変わらないのだが、ここがスゴいのは、参道を少し逸れただけでも国宝級の出土品が無造作に転がっている点にある。実際、沖ノ島は「海の正倉院」とも呼ばれ、島内からの出土品、8万点すべてが国宝に指定されている。たぶん、その量・規模は国内を見渡しても圧倒的だろう。これはエジプト考古学者の吉村作治先生も認めており、古代日本の足跡を知る上ではこれ以上のものはないとさえ言われている。そういう点では、まさに世界文化遺産たるに充分な地と言えるだろう。

 ちなみに、こちらは神職が常駐すると言っても充分な生活環境が整えられているわけではない。船着場に小さな小屋があるくらいで、しかも、風呂・トイレといった類のものもない。用を足すのなら海の中、ということらしいが、そんな中で、一つだけ分かったのは、NTTドコモの携帯電話だけは使用可能だということ。その点だけは現代社会との接点をみた気がするが、再来年、果たして、沖ノ島は世界文化遺産に登録されるのだろうか。個人的には、沖ノ島が評価されることは嬉しいながらも、この古式に則った習慣は是非とも維持して頂きたいと思っている。

著者プロフィール

toujyou

一般社団法人国際教養振興協会代表理事/神社ライター

東條英利

日本人の教養力の向上と国際教養人の創出をビジョンに掲げ、一般社団法人国際教養振興協会を設立。「教養」に関するメディアの構築や教育事業、国際交流事業を行う。著書に『日本人の証明』『神社ツーリズム』がある。

公式サイト/東條英利 公式サイト

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