新国立問題で再注目!? 平成の闇将軍・森喜朗のさらなる大野望

日刊大衆

新国立問題で再注目!? 平成の闇将軍・森喜朗のさらなる大野望

屁理屈よりも義理人情。マイペースな政治家ゆえ「サメ脳」などと言われたけど、この御仁はスゴい先生ですゾ!

7月17日午後2時、首相官邸で2人の実力者が対峙した。安倍晋三首相と、東京五輪組織委員会委員長の森喜朗元首相である。
1時間半近い会談を終えて出てきた報道陣の前に姿を現した安倍首相は、心なしかスッキリとした表情で、「現在の計画を白紙に戻し、ゼロベースで見直す」と宣言した。

そう、日本全体を混乱に陥れた「新国立競技場問題」について、重大な決断が下されたのだった――。
56年ぶりに東京で行われる五輪のメイン会場で、そのシンボルとなる新国立競技場。世界中からそのデザイン案を募集し、12年に、英国人建築家のザハ・ハディド氏の案を採用すると決定した。
その際の総工費は1300億円とされていたが、今年になってなぜかそれが、2520億円にまで膨れ上がったのだ。

理由も説明もないままの建設費の異常な高騰ぶりに、識者はおろか、国民からも非難が殺到。決断が求められていた。

全国紙政治部記者が言う。
「19年のラグビーW杯も、新国立競技場での開催が予定されていました。今年6月まで日本ラグビー協会会長で、同W杯誘致に尽力した森元首相も希望していたものの、同会場での開催は事実上、不可能となりました」

大好きなラグビーを、新しくてカッコ良い競技場でイの一番にできないなんて……安倍首相の白紙撤回に、不機嫌ムキ出しの"平成の闇将軍"森元首相。相手にサメのように噛みつく放言ショー(!?)で、いざ反撃!!

まずは第1R。安倍首相の"白紙宣言"同日、BS番組でのインタビューだ。ザハ・ハディド氏による競技場のデザインを、
「これを見たときに、おやっと思ったんですがね。生ガキがドロッと垂れたみたいでね」
「このデザインは嫌だなあと正直、思った。やっぱ(東京には)合わないんじゃないでしょうか」
と今さらながら酷評……トップがそれを言っちゃあオシマイだが、さらに、
「国がたった2500億円が出せなかったのかね」
と、"ザ・昭和の政治家"とも言うべき、ドンブリ勘定の金銭感覚を披歴し、政府を非難。血税を"たった"と、太っ腹さを見せた。
メディアに向かって仰天持論

第2Rは三連休明けの21日、文部科学省が主催した関連会合でのことだ。急遽決まった閣僚会議に出席するため、下村博文文部科学相が途中退席すると、
「呼びかけた下村文科相がただちに退出するというのは、極めて非礼だ」
「私は、極めて不愉快な気持ちになった。みなさんもそうだと思うので、僕から言っておきます」
とオカンムリ。会合中、怒りをムカムカと蒸し返してたけど、よほどご立腹!?

続く第3Rは、22日の会見。森元首相は、新国立競技場問題を突如、高級車になぞらえて、
「我々はクラウンぐらいの車に乗っていたら、後ろから大きなセンチュリーが来て、"こっちのほうがいいから乗せてあげるよ"と言って、乗ったらパンクして降りなさいとなった」
……ってどういう意味!?

前出の政治部記者はこう"解説"する。
「ラグビーW杯はもともとは横浜の日産スタジアムで決勝戦で行う予定で、この"日産"をクラウン、新国立競技場をセンチュリーとしたんですが、記者の間でもその真意がよく分からないと、話題になりました(笑)」

さらに、森元首相は、
「新国立競技場の2520億円は高いか安いか。総合すると実は国が一番安い」
と東京五輪全体で組織委が7000億円、都が3000億円を負担する中、"国が受け持つのは新国立競技場だけ"と強く皮肉ったうえ、
「このあたりの数字は、安倍晋三首相はご存じない」
と総理を小突き、
「こういうことを、下村博文文科相は知っているんだから、もう少しきちんと、そういう説明を閣内でしないといけなかった」

ガブガブ噛みで下村氏は出血多量! 白紙の一件も、
「たいへん迷惑している」
と、政権のメンツも気にせず明言。カンカンカ~ン!! 安倍政権、TKO!!

「東京五輪を担当する文部科学省と、森さんがトップの組織委は、主導権争いを続けてきたところ。新国立競技場の建設を白紙撤回した責任を追及し、民主党の岡田克也代表、蓮舫代表代行は、下村文科相の辞任を要求。更迭論も浮上する中、森さんがマスコミを利用してうまく発言しましたね」(夕刊紙デスク)

御年78ながら、今や"時の人"の森元首相。しかし、数年前は隠居もありえたほど、窮地に追いやられていた立場だ。
「09年の総選挙では、折からの"政権交代ブーム"民主党は森氏の選挙区である石川県第2区に対抗馬として"小沢ガールズ"の田中美絵子氏をブツケてきました。危機感を覚えた森氏は、ドブ板選挙で応戦。"5人集まれば、森がいる"という徹底したものでした」(ベテラン政治記者)

スポ根顔負けの根性で森氏は勝利するも、票差はたった4000票。自民党は歴史的大敗で野党へ下野。みるみる求心力を低下させ、浜辺に打ち上げられたサメのように"瀕死"状態となった。次ぐ2010年8月、
「息子である森祐喜氏(当時の石川県議会議員)が、酒気帯び運転で物損事故を起こして逮捕されました」(同記者)

これがきっかけとなり、森祐喜氏は議員辞職に追い込まれるのだが、悲劇はさらに続く。
「続く11年7月25日、祐喜氏は急性膵炎による多臓器不全で突如、亡くなります。享年46。突然の不幸でした。翌12年、森元首相は総選挙に出馬せず、世襲も成らぬまま、政界引退を決めました」(同)

水族館で過ごすサメのように、森氏はただじっと静かに余生を送るはずだった。
しかし――、
「同総選挙で自民党は民主党に大勝し、安倍晋三首相が誕生。その後、滝川クリステルの"お・も・て・な・し"など秀逸なパフォーマンスで、2020年の東京五輪招致を決めました。そして安倍首相が、同五輪の組織委員会会長に森氏を指名。強大な権力を手にしました」(夕刊紙デスク)

森元首相が"東京五輪"という大海原へ放たれた。
「自民党最大派閥を長く率いていた森氏は、義理人情に厚く、人脈も広い。各方面の事情にも精通している。五輪のような巨大事業を進めていくのに、安倍首相にとって、最も頼りになる"相談相手"になるのでしょう」(前同)

政治ジャーナリストの二木啓孝氏が言う。
「自民党と政権との利害調整役をできる政治家が、森さんくらいしか存在しなくなったということでしょう。過去でいえば、野中広務元官房長官、青木幹雄元官房長官、古賀誠元幹事長などがいましたが、みんな退いてしまいましたから」
ベテラン議員も苦笑の大野望

議員は辞めても"政治家"として現役感はバリバリ。ベテランゆえの気難しさもある。
「森さんは借りた恩は返す人ですが、借りた恩を無視する人には"倍返し"する。いわゆる義理人情、ヤクザの世界の価値観の人間です。みんな、それが分かっているから、我関せずでいるところがあるんじゃないでしょうか」(二木氏)

今回の新国立競技場の件では、安倍首相に煮え湯を飲まされた格好だが、何のことはない。森元首相は組織委員会会長の座もそのまま、「スポーツの力と価値を世界に発信」することに向け、盤石の態勢である。それどころか、
「結局、今回の一件で"詰め腹"を切らされるのは、おそらく下村博文文科相。今後も森さんは、調整役として影響力を持ち続けるでしょうね」(二木氏)

しかし、「スポーツの力と価値を世界に発信したい」と言った森元首相の"大野望"はこんなモノではない。なんと、氏に近いベテラン議員はこう語るのだ。
「森さんは、キングメーカーと呼ばれ、その際の真偽の確めようのない裏話で自分の力を誇示するのが大好き。今後もスポーツではなく"森喜朗の力と価値を世界に発信"するのを生きがいにしていくでしょう。長生きしますよ(笑)」

東京五輪開催を83歳で迎える森元首相だが、野望に限りはない!?

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