インドネシア・格闘技事情 「グラップリング」に魅せられて (2/3ページ)

FUTURUS

スラバヤ、ジョグジャカルタ、バンドゥン、そして年の終わりにジャカルタといった具合に。

実は同じグラップリングの大会でも、開催される地域によって明確な特色が出る。例えばスラバヤの場合、その出場選手はボトムポジションから腕関節を狙う柔術タイプが多い。だがバンドゥンでは、スンダ地方の伝統相撲の影響でアマレスラーが多く、そのため積極的な投げ技とトップポジションを重視する選手が主流なのだ。

そんな中、一人の日本人選手が大旋風を巻き起こした。ブラジリアン柔術でもレスリングでもない、柔道をベースにする臼井悦規だ。

臼井の本業はアクション俳優である。インドネシアで活動し、CMにも出演している。ジャカルタの日本語劇団『en塾』でアクション指導も行うなど、フィジカルアクターとして幅広く活動している。そんな彼がマットに上がるや否や、現地のグラップラーは驚愕した。

それもそのはずだ。予選リーグで対戦した3人を仕留めるのに、合計50秒も要さなかったのだから。

近代柔道は高速化している。それをそのままグラップリングに持ち込んだ臼井に対し、平均水準程度の実力の選手ではまったく歯が立たない。早い時は5秒でカタがつく。スピーディーさよりも試合の組み立て方を第一に考えるインドネシア人選手にとって、臼井の登場はまさに革命だった。

「電撃の柔道家」臼井悦規は瞬く間のうちに、インドネシアマット界のスターになる。彼が出場する76キロ級の選手は皆、臼井の脅威に苦しみながらもどうにか対抗しようとしている。


■ スポンサーとの付き合い方

この国のグラップリングは日本のそれとは違い、大会入賞者に相応の賞金が用意されている。

例えば去年のジャカルタでのチャンピオンシップ定量級優勝の場合、400万ルピアが手渡される。ジャカルタ州の最低法定賃金は、まだ300万ルピアに達していない。現地の庶民にとっては大金である。

これを可能にしているのは、大企業の存在だ。

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