インドネシア・格闘技事情 「グラップリング」に魅せられて (3/3ページ)

FUTURUS

グラップリングという、まだメジャーな種目になっていないスポーツに資金を出す企業がちゃんとあるのだ。だが、それは一方で問題を生んでいる。

その企業の名前は、ジャルム。インドネシア最大のタバコメーカーだ。

21世紀も15年を経た今、すでに世界のスポーツイベントからはタバコの広告がなくなっている。だがインドネシアではそうではない。とっくの昔に肺疾患でこの世を去っているマルボロマンのポスターが、この国には今もある。

「ジャルムはスポーツを利用して、若者にタバコを買わせようとしている!」

自覚的な市民は、サブミッション・チャンピオンシップにそういう声を向ける。いや、これはグラップリングに限ったことではない。サッカーもバトミントンもモーターレースも、そのイベントには常にジャルムの広告がある。さすがはインドネシア一番の財閥企業だ。

だがその光景は、去年から変わりつつある。ジャカルタ州によるタバコメーカーの広告規制が始まり、ジャルムは自社製品のロゴをポスターに書くことができなくなった。もちろん、インドネシアのマット界にとってジャルムはもはや欠かせないスポンサーだが、その付き合い方というものを徐々に考え始めたようにも思える。

タバコ会社との距離を少しだけ置く代わりに、その隙間を埋めるように現地のスポーツグッズメーカーのブースが登場するようになった。今まで外国ブランドに押されて、なかなか日の目を見ることができなかった中小メーカーだ。

ジャルムの雇ったコンパニオンばかり目立っていた試合会場が、だんだんと「スポーツイベント」という題目に相応しい景色となっている。そう、我々グラップラーは常に少年たちに見られているのだ。それを忘れてはいけない。

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