【プロ野球】ほぼ期待外れ!? 昨年のドラフト1位選手たちの今(パ・リーグ編)
プロ野球も終盤戦。今年のパ・リーグは、交流戦でセ・リーグを圧倒し、特にソフトバンクは大貯金祭り。
各球団の戦力差が浮き彫りになりつつあるが、昨年のドラフト1位はチームに勢いをもたらしたのか!?
ドラフトの季節を前に、昨年の各球団ドラフト1位選手の「今」を見てみよう(成績は9月13日時点)。
【ソフトバンク】松本裕樹(投手・盛岡大付)
1軍:登板なし
2軍:登板なし
最速150キロに加え、多彩な変化球を織り交ぜた「大人のピッチング」でドラフト1位競合も確実視されていた松本。しかし、昨夏の岩手大会で右ヒジを痛め、甲子園でもガチガチのテーピングで固めた上での投球となり、満身創痍となってしまった。
そのケガもあって、結局1位指名はソフトバンクのみ。才能は認められつつも、右ヒジの状態は「深刻」というのがその他の球団の見方だった。
予想通り、松本は2月中旬までノースローで体力作りに励むなど、治療優先でプロ生活をスタート。今季はまだ2軍戦はおろか、3軍戦でも登板しておらず、基礎作りと治療を継続している。
しかし、高校時代にはサイズアップの必要性や走り込み不足も指摘されており、この期間に弱点を補って一回り大きくなる可能性も秘めている。
1軍は超豪華戦力で圧倒的貯金をこしらえているだけに、球団としても松本としても焦る必要はない。黄金期到来を背景にした長期的視野での指名。その成否の評価は、これからの松本の頑張り次第で変わるだろう。
【オリックス】山崎福也(投手・明治大)
1軍:14試合 3勝4敗 防御率4.74
2軍:10試合 2勝4敗 防御率2.72
明治大のエースとして東京六大学で通算20勝をあげた山崎。187センチの身長から投げ下ろすストレートとタテ割れのカーブ、フォークで打ち取るバランス型左腕だ。
ルーキーイヤーの今季は開幕1軍をつかむと、開幕カード3戦目の先発を任されるなど、好スタートを切った。しかし、課題のコントロール難は克服には至っておらず、その後は1軍と2軍を行ったり来たり。「即戦力」と呼ぶにはには2〜3歩足りなかった。
しかし、9月13日の日本ハム戦で1カ月ぶりの1軍マウンドを任され、同じくドラフト1位の有原航大との投げ合いを制して、3勝目を挙げた。
現段階で「ドラ1の山崎」といえば、DeNAの守護神・山崎康晃のことになっているが、今季の経験を一歩ずつ次につなげていきたい。
【日本ハム】有原航平(投手・早稲田大)
1軍:16試合 8勝5敗 防御率4.93
2軍:5試合 0勝2敗 防御率1.17
日本ハム、DeNA、広島、阪神の4球団が競合し、昨ドラフトの主役となった有原。最速156キロの剛速球を誇り、即戦力候補の筆頭に挙げられていた。
唯一の懸念は、大学4年のラストシーズンで起こした右ヒジのケガ。ソフトバンク・松本と同様にウィークポイントとなっていたが、日本ハムは柔軟な対応を見せ、中6日、中7日、100球以内など、コンディション重視での起用体制を敷いた。
勝ち星を順調に伸ばし、新人王候補にも挙げられるが、防御率を見るとかなり物足りない。それでも2ケタ勝利に迫る強運はさすが。現状では有原は「持ってる」ピッチャー。早稲田大のエースがホンモノであることを示したい。
【ロッテ】中村奨吾(内野手・早稲田大)
1軍:99試合 打率.219 5本 17打点 3盗塁
2軍:5試合 打率.350 1本 3打点 0盗塁
パ・リーグ唯一の野手ドラ1。走攻守そろった逸材で、ポスト井口とも言われている中村は、手薄な選手層とロッテ特有の日替わり起用のなかでコンスタントに出場している。
打撃では安定感を欠いているが、堅実な守備力を買われて、二塁、三塁、遊撃、外野とさまざまなポジションを守る。
派手さはないものの、チームの「即戦力」になったことは間違いない。ユーティリティ性という武器を生かし、1軍出場の機会があるうちに打撃に磨きをかけたい。
【西武】高橋光成(投手・前橋育英)
1軍:6試合 5勝1敗 防御率3.06
2軍:13試合 4勝4敗 防御率3.69
高卒ルーキーの一番星を挙げたのはこの男。高校日本代表のエースを務めた橋光成がスターロードを駆け上っている。
8月3日、チームの大連敗中に先発大抜擢。初戦こそ3回0/3を4失点(自責点3)でホロ苦デビューとなったが、次戦で初勝利を挙げると怒涛の5連勝。不調・西武の救世主となり、史上最年少で月間MVPを獲得した。
チームの投手事情もあり、登板数は増えていないが、高橋の奮闘がなければ、そのままズルズルと下位に沈んでもおかしくなかった。獅子のエースになれるだけの素質を見せただけに期待は大きく膨らむ。
【楽天】安樂智大(投手・済美)
1軍:出場なし
2軍:17試合 3勝1敗 防御率3.34
ソフトバンク・松本、日本ハム・有原と右ヒジに不安がある投手がドラ1に選ばれた昨ドラフトだが、そのなかでも壮絶にぶっ壊れていたのが安樂だ。
高校3年の夏になっても元の状態からは程遠かったが、高校野球界の至宝に楽天とヤクルトが1位競合。もちろん、「即戦力」としての指名ではなく素材重視。球団も「2年間は2軍で育成」と慎重を期した育成方針を明らかにしている。
現在は右ヒジをケアしつつ、2軍で短いイニングを投げて経験を積んでいる。最速157キロを記録したストレートはいまだに140キロ台後半だが、それでも高卒新人としてはなかなかの成績を残している。
ストレートの質は天性のもの。本来の投球に一歩ずつ近付こうとする様子も伺える。「来季すぐに…」というわけには行かないが、将来を見すえて自分のピッチングを取り戻してほしい。
文=落合初春(おちあい・もとはる)
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