【安保法案】媚中、暴行、セクハラ…中国人が見た民主党の惨状

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民主党・岡田克也代表(民主党公式サイトより)
民主党・岡田克也代表(民主党公式サイトより)

 こんにちは、中国人漫画家の孫向文です。

 9月17日に安保改正の採決が行われようとした際、民主党の議員たちがそれを阻止するために一斉に飛びかかりましたが、これは中国人である僕にとって大いなる衝撃でした。一党独裁である中国において、こうした白熱した議会が繰り広げられることはありません。ある意味、多党制だからこそ起こりえることだと言えるかもしれませんが、僕はこれが自分の望む民主主義だとは思いたくありません。

 議会政治というのは話し合いで決めるものではなかったのでしょうか。話し合いが無理だから暴力に訴えるのであれば、それは民主主義ではなく、むしろクーデターとも言うべきものです。もちろん、民主党の政治家たちからすれば、自民党の政治家たちが独裁的で横暴だからこそ自分たちはこういう行動に出たのだと主張することでしょう。

 ですが、彼らが集団的自衛権を否定する理由としては、「中国とも話し合えば分かる」という思いが根底にあるかとは思います。それを踏まえてみると、今回は皮肉にも「話し合いで解決しない問題もある」、「相手側が突然攻撃してくることがある」ということを立証したとも言えるでしょう。民主党は自らの行動により、日本の集団的自衛権の必要性を証明してしまったのです。

支持していた民主党に絶望

 僕は集団的自衛権の行使に賛同していますから、自民党の政権を支持しています。ですが、5年ほど前までは、多くの中国人と同様、民主党を支持していました。

 2009年、日本で行われた衆議院総選挙で民主党が大勝したことにより、同党が政権を獲得したことを歓迎する中国人は大勢いました。それ以前の小泉純一郎をはじめとする自民党政権下の総理大臣たちは保守層が多く、中国に対して対立的な姿勢を見せることが多々あり、中国人にしてみれば癪に触ることこの上なかったのです。民主党政権になってからは、当時の党首である鳩山由紀夫氏が「東アジア共同体」を提唱するなど、近隣諸国との融和路線をかかげました。これで日中関係の改善につながると多くの中国人が考えたのです。

 ですがいざフタを開けてみるとそれは間違いだということが分かってきます。政権獲得直後に当時の小沢一郎幹事長らが中国へ訪問するなど、民主党の議員たちは中国に対し、「仲良くする」というより「媚びを売る」外交をはじめました。彼らは、中国政府が行う人権侵害などには目をつぶり、中国政府の顔色をうかがいながらすり寄っていったのです。

 その結果、中国政府は図に乗り、少数民族への迫害や弾圧、そして尖閣諸島、東シナ海のガス田など様々な地域で問題を起こしていきます。「これまでは隣で監視しているうるさい奴(自民党)がいたけれども、もういないから、国内でも国外でも好き放題やっちゃえ」というのが中国共産党の思惑であり、その結果、中国国民にもその負担がのしかかってきました。このように、中国共産党と中国国民は、一枚岩ではなく、全くの別物です。

 今回の一連の安保反対を見るにつけ、僕は民主党が当時と全く変わっていないことを実感しました。彼らにとっての自主性を垣間見ることができなかったのです。彼らの主張というのは、本音を言ってしまえば、

「今まで通りアメリカの核に守られ、自らはなるべく戦争に参加したくない。戦争の際には、アメリカに代わりにやってもらおう。中国とも波風立たせず、彼らが横暴しても見て見ぬふりをしよう」

 ということではないでしょうか。

 それは自立していない子どもの言い分であり、2009年の鳩山政権のすり寄り外交と全く同じです。「平和」という口当たりのいい言葉を使いながらも、それは、自分たちは何もやらない「無責任」と同義なのです。

 僕も今回の自民党の強行採決がスマートなやり方だったとは思えません。ただしそれ以上に醜かったのが、まるで玩具を買ってもらえない子供が泣きわめいているかのような、稚拙な対応を取る民主党をはじめとする野党の姿でした。

 今後、野党が国民の支持を獲得するには、ヒステリックな抗議活動ではなく、「現実を見極めた上での大人としての代替案を提示すること」が必要不可欠でしょう。それが無理であれば、色々と問題はありながらも、現実を見極めた大人である自民党にしか政権は任せられないと思います。

著者プロフィール

漫画家

孫向文

中華人民共和国浙江省杭州出身、漢族の31歳。20代半ばで中国の漫画賞を受賞し、プロ漫画家に。その傍ら、独学で日本語を学び、日本の某漫画誌の新人賞も受賞する。近著に『中国のもっとヤバい正体』(大洋図書)

(構成/亀谷哲弘)

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