【宇宙研究】10年後に土星の「環」がなくなるってほんと? (2/2ページ)
一般的なコピー用紙の厚みは約0.09mmなので、もしこれで土星の環を再現するなら、
・土星の直径27万km : 土星の厚さ1km = 紙の直径 : 紙の厚さ0.09mm
から、なんと直径24mの円を作らなければなりません。シャツのなかで生きるカエルのように、土星の環は「ほぼ2次元」な存在なのです。
■観測しやすいのは2038年
この薄さが原因で、およそ10年後、土星の環は消えてしまいます。地球に「真横」を向けるため、環が見えなくなってしまうのです。
地球の自転軸は約23.4度傾いているため、公転にともない太陽光が当たる/当たらない部分が生まれ、これが季節を生み出します。土星も地軸が約26.7度傾いているため、
・環が見えない(地球に真横)
・環の表側が見える
・環が見えない(地球に真横)
・環の裏側が見える
をおよそ30年サイクルで繰り返し、15年ごとに環がみえなくなる「消失現象」を繰り返しているのです。つぎに真横を向けるのは2025年、いまから10年後に環のない土星が拝めるようになるのです。
ただし、地球も太陽のまわりを公転し、土星との位置関係も日々変わっているので、観測しやすいのは2038~2039年と、いまから四半世紀も先の話。興味のあるひとは、元気に観測できるよう、ジョギングでも始めるのが良さそうです。
■まとめ
・土星の「環」の直径は約27万Km。地球が21個入るほど巨大
・それなのに厚さは1km程度で、ほぼ2次元
・厚さ0.09ミリのコピー用紙で再現すると、直径24メートル相当
・極端に薄いため「真横」からは環が「消失」したように見える
・つぎに環が消失するのは2025年、観測しやすいのは2038~2039年ごろ
(関口 寿/ガリレオワークス)