【日本シリーズ】自らサヨナラ安打…「優勝請負人」工藤公康の"名場面"

デイリーニュースオンライン

福岡ソフトバンクホークス公式HPより
福岡ソフトバンクホークス公式HPより

 ヤクルト対ソフトバンクとなった2015年の日本シリーズ。真中満と工藤公康の指揮官はともに就任1年目で優勝を果たすなど、史上4度目となる「新人監督対決」も注目を集めている。

 過去の新人監督対決は1986年の広島対西武の阿南と森、2002年の巨人対西武の原と伊原、2004年の中日対西武の落合対伊東と3回実現しているが、森西武、原巨人の2回で選手として出場しているのが、ソフトバンクを率いる工藤である。

 ソフトバンクは2014年、秋山幸二監督の下で日本一となったが、工藤監督が連覇に導けば、史上初の「監督の異なる連続日本一」が達成される。

通算奪三振102はシリーズ記録

 29年の現役生活で優勝14回。西武、ダイエー、巨人を優勝に導き、「優勝請負人」と呼ばれた選手時代の工藤公康は、日本一11回を誇った。通算26試合に登板して8勝をマーク、MVPにも2度輝いている。

 新人監督の森祇晶が西武を日本一に導いた1986年。阿南準郎率いる広島相手に1分の後、3連敗と後がなくなった西武は第5戦、エース東尾修の後を受けた工藤が3イニングを1安打5三振とほぼ完ぺきに抑え、シリーズ初勝利を挙げた。延長12回裏、1死二塁のチャンスで打席に立った工藤は、炎のストッパー・津田恒美からライトへサヨナラ安打を放った。前の打席で広島の捕手・達川光男に死球を当てていたことから「内角を突いてくる」とバッテリー心理を読み当てると、続く第6戦でも3回を無得点に抑え、シリーズ初の第8戦でも8回裏のピンチを見事に切り抜けた。

 西武は3連敗4連勝の離れ業を演じ、1勝1敗2セーブ、通算17奪三振・防御率1.20をマークした「逆転の立役者」工藤はMVPとなっている。

 続く1987年の巨人戦でも第2戦を完封勝利、第5戦でセーブを挙げると、続く第6戦も完投勝利で2年連続MVPに輝いた。最終第6戦の9回裏2死、デビュー2年目の清原和博が「打倒王巨人」目前にして涙ぐむと、「涙のにじむ清原のところには打たせられない」と配球を考え、最後の打者篠塚利夫をセンターフライに打ち取っている。

 中日・野口茂樹との「MVPサウスポー対決」となった1999年の第1戦では、日本シリーズ記録となる13奪三振(その後ダルビッシュ有も2007年にタイ記録)で12年ぶりのシリーズ完封を決め、稲尾和久のもつシリーズ奪三振記録を塗り替えた(現在、日本シリーズの通算奪三振記録は工藤の102が最高)。この試合を工藤は「生涯最高のピッチング」と振り返っている。

 巨人にFA移籍した翌2000年のONシリーズでは、自身が所属した前年度日本一のダイエーを相手に初戦に先発。勝敗こそつかなかったものの、7回5安打8奪三振と古巣のナインを手玉に取っている。

 14回の出場で26試合に登板、8勝5敗3セーブ102奪三振と、文字通りシリーズ男だった工藤公康。指揮官として初出場の今年、優勝請負人らしく「記憶に残る名采配」をファンは期待してやまない。

(文/小川隆行)

「【日本シリーズ】自らサヨナラ安打…「優勝請負人」工藤公康の"名場面"」のページです。デイリーニュースオンラインは、プロ野球スポーツエンタメなどの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る

人気キーワード一覧