臨床心理士が教える! 人の話しを上手に聞く「傾聴」の姿勢とコツ (2/3ページ)
■態度に気持ちがこもっている人は聞き上手
筆者も、人の話しを途中でさえぎり、会話が続かなくなった経験が幾度となくあります。次に、「聞き上手になるコツ」について、藤永さんはこう話します。
「話しを聞くのが上手な人は、話す時間と聞く時間のバランスがよく、聞く側としての態度に気持ちがこもっている、という特徴があります。
心理学だけでなく、福祉や教育の現場でも活用される、『傾聴(けいちょう)』を耳にする人も多いと思います。これは、相手の話しを真摯(しんし)に、かつ共感を持って聞き、相手の気持ちや体験を理解する姿勢や態度のことです」
ここで藤永さんに、傾聴の4つの姿勢・態度を紹介してもらいましょう。
(1)励まし……うなずき、あいづち、相手の言葉をそのまま繰りかえす、「もっと詳しく聞かせて」という声がけをする。
相手に「ちゃんと話を聞いていますよ」と受け入れているサインになると同時に、会話にリズムが生まれます。話し手にとっても話しやすい雰囲気が生じて、もっと話したくなる効果があります。
(2)言い換え……相手の言葉を自分なりに言い換えて、応答する。
相手に「自分の話し、気持ちが分かってもらえた」という安心感を与えることができます。また言い換えの言葉によっては、相手の内省を深める効果もあります。
(3)要約……ある程度、話がひと段落したころに、それまでの相手の話をまとめる。
相手に対して、話しを客観的に振り返るきっかけを与え、自分自身も相手の話しを正しく聞き取れているかを確認できます。
(4)感情の反映……話している内容から推察される相手の感情を指摘する。
「あなたは○○○と感じているのね」、「○○○な気持ちだよね」と伝えることで、相手が自分自身の気持ちに気付きます。また、こちらが相手に共感したことを伝える効果があります。
最後に藤永さんは、こうアドバイスを加えます。
「人の話しを聞くのが苦手という人は、まずは共感しながら聞くことを意識しましょう。共感は同情や感情移入とは違います。