「イスラム国」の台頭許した”リーダー不在”と国連事務総長の不甲斐なさ (2/2ページ)
- タグ:
-
イスラム国
イスラム世界にも求められる自浄能力
そして、もう一つ、この問題解決を積極的に取りまとめる必要がある牽引者がある。それがイスラム諸国の国々、もしくは宗教的指導者の方々である。実際、複雑に分派したイスラム教を取りまとめることは不可能に近いのかもしれない。しかし、イスラム国の台頭をここまで許したのも同じくイスラム教内部の問題でもあることは間違いないだろう。
逆に、イスラム教信者たちの中からこの問題を解決するための自浄能力がなければ、イスラム教はこのイスラム国の示す手法、つまり、排他的な危険思想を認めていると懸念されても仕方がないだろう。もちろん、イスラム国は莫大な軍事力と資金力を持っている。しかし、ここまで事態が複雑化してしまっている以上、そこは本質論に則ってまずはイスラム教内部としての決意を期待したいところだが、まぁ、言うは易しと言ったところでしょうか。
少なくとも国連にはより一層の行動力を期待したい。それが出来なければ事態はさらに複雑になり、ローマ法王の示す第三次世界大戦の可能性は更なる現実感を帯びていくような気がする。
平成12年(2000年)、当時、国連のアナン事務総長の呼び掛けで千人以上の宗教者が集う「ミレニアム世界平和サミット」が開かれた。その時、閉会式を務めた黒住教の教主は、天皇のお言葉をお借りしてこう表現したという。「自ら正しいと思う者が一歩身を引くことができればすべては丸くおさまる」。
私も又聞きで頂戴した言葉なので、その言葉の正確性は分からないが、少なくとも、この言葉の意味そのものこそ、今の世にこそふさわしい内容だと痛切に感じるがどうだろうか。
同時にパン・ギムン国連事務総長にも、このアナン事務総長にならい単なる個別の意見表明ではなく、実行動として強く示してもらいたいと願わんばかりである。
著者プロフィール
一般社団法人国際教養振興協会代表理事/神社ライター
東條英利
日本人の教養力の向上と国際教養人の創出をビジョンに掲げ、一般社団法人国際教養振興協会を設立。「教養」に関するメディアの構築や教育事業、国際交流事業を行う。著書に『日本人の証明』『神社ツーリズム』がある。
公式サイト/東條英利 公式サイト