SMAP解散騒動で"ブラック企業イメージ化"したジャニーズ事務所 (2/2ページ)
こうした背景に加えて、今やブラック企業によるパワハラ問題が社会問題として問題視されているご時世である。そういう苦しみを味わっている社会的に弱い立場の人間からすると、ジャニーズ事務所こそ憎むべきブラック企業の経営陣であり、今回の騒動で大手メディアに悪者として扱われているSMAP育ての親の飯島氏やSMAPメンバーらの姿に、自己を投影させてしまうかもしれない。そういう印象を持ってしまったら、ジャニーズがどれだけ自分勝手な情報を押し付けてこようと聞く耳を持つ訳がない。
さらには、SMAPの存在の大きさがジャニーズ事務所の想像を超えているという点も挙げられるだろう。 SMAPといえば日本を代表するグループであり、これまで様々なナショナルクライアントの仕事をこなしてきた実績がある。そんなグループに対して今回のような酷い扱いをすれば、財界だって「何をしてくれているんだ?」と黙ってはいられなくなってしまう。
ジャニーズのような古臭い体制のプロダクションからすれば「所属タレントなんか事務所都合でどうにでもなる」としか考えていないのかもしれないが、もはやそのようなやり方は通用しない時代だと気付くべきだった。この騒動でこれ以上ないほど悪いイメージを全国にばら撒いてしまったジャニーズ事務所が受けるダメージはいかほどだろうか。
何にせよ、この騒動で最も恥をかき、また信用を失うのは、脊髄反射的にジャニーズ事務所側からの情報だけを垂れ流したメディアであろう。長いものに巻かれるしか脳がないなら、お願いだから報道などという御大層な言葉は使わないでいただきたい。
時代が読めないというのは、こうまで醜悪なのかと改めて思い知った次第である。
Written by 荒井禎雄
Photo by Magdalena Roeseler