”日本の国会質疑”に呆れる中国人の意見「トンチンカンな言いがかりばかり」
こんにちは、中国人漫画家の孫向文です。僕は最近、日本の国会に強い感心を持っています。その理由は近隣諸国問題など日本を取り巻く情勢が激変する中、与野党がどのような対応策を考えているのか興味があることと、一党体制の中国とは違う民主国家の多党制政治がどのようなものであるか把握したいという気持ちがあるからです。
2016年1月6日から開催されている通常国会に注目しているのですが、一番印象に残ったのが安倍晋三首相の態度でした。安倍首相は自身が発言する際、必ず最初は衆議院議長たちに、次は野党議員たちにお辞儀をするのです。政敵であるはずの野党議員にすら敬意を払う安倍首相の姿を見て、僕は「これこそ日本人の姿だ!」と深く感銘したのです。
それに対し、悪印象を持ったのが野党側の態度です。同日に行われた北朝鮮の核実験が主題にされていたのですが、民主党の岡田克也党首が、安倍首相に日本の安全保障はどうするのか? という質問を投げかけると、民主党の議員たちは一斉に拍手を行いました。安倍首相は諸外国と連携して問題を解決すると返答しましたが、もともと安保改正法案に最後まで反対していたのは民主党です。国家の防衛力向上を自ら否定していた彼らが安全保障について質問している姿を見て、僕は大きな矛盾を感じたのです。
■安倍首相個人に対する攻撃にしか見えない質疑
この時のみならず、国会の中継を見るたびに野党側の行動には疑問を感じます。ある日の国会では経済問題が主題にされていたのですが、民主党のある議員が「ワタミ」の社員が過労による自殺を遂げたことを引き合いに出し、安倍首相に対し遺族に対する謝罪を執拗に求めたのです。
この民主党議員は、建前上は労働環境の改善を訴えていたのかもしれませんが、僕には安倍首相個人に対する攻撃にしか見えませんでした。他にも民主党・共産党の議員たちはブラック企業、最低賃金引き上げ、貧困家庭など主に低収入労働者側の立場から見た質疑を次々に行っていましたが、法人税の引き下げや企業の育成、支援など、資本家側の視点から見た問題を提起することが全くなかったのです。
日本が資本主義経済国家である以上、まずは企業の収益が増額し、労働者側の給与がアップすることが労働環境を改善する最良の手段だと思います。仮に労働者の要求を素直に受け入れ賃金を急激に増額すれば、企業の収益は大幅に悪化し、結果大規模なリストラが発生するなど、しわ寄せは労働者側に降りかかるでしょう。
■トンチンカンな質疑は資本主義者と共産主義者の対立?
僕は日本の与野党の質疑応答を見ていると、企業間の資本家と労働組合、さらに話を飛躍させると資本主義者と社会・共産主義者の対立を連想します。労働者側の主張ばかりを訴える野党議員たちは、賃金引き上げを要求する労働組合員や国会前でデモを行う市民団体のようです。
現在の日本経済を漫画出版に例えると、漫画が満足に売れず出版社の経営状態が低迷している状態です。そのような時は出版社側(資本家・与党)と漫画家側(労働者・野党)が協力し、どのようにすれば売り上げの増加が見込めるか検討するのがベストでしょうが、野党側の主張とは出版元が低迷しているにも関わらず、漫画家が「原稿料を増やせ! 作品の増刷を繰り返せ!」と無茶な要求を行っているようなものです
僕は日本の労働組合と野党が何らかの関連があると考え、インターネットで調査しました。すると「次世代の党」の杉田水脈代議士らの調査により、とある地方都市の公務員の労働組合は組合員の多数が共産党支持者であること、公務員間で民主党、共産党に対する支持、投票が推奨されていることが判明したのです。
僕自身、自民党の政策には数々の問題があると思いますが、それでも無意味な質疑を繰り返す野党の議員たちを見ていると、彼らには国政を担う資格がないと思わざるをえません。野党が建設的な質疑応答を行い本当の意味で民主的な国会答弁が実行されない限り、野党側が批判する現在の「自民党独裁体制」はますます加速するのではないでしょうか。
著者プロフィール
漫画家
孫向文
中華人民共和国浙江省杭州出身、漢族の31歳。20代半ばで中国の漫画賞を受賞し、プロ漫画家に。その傍ら、独学で日本語を学び、日本の某漫画誌の新人賞も受賞する。近著に『中国のもっとヤバい正体』(大洋図書)
(構成/亀谷哲弘)