なぜTBSが家宅捜査の現場に?清原容疑者、電撃逮捕の”舞台裏”
清原和博(48)の覚せい剤逮捕を報じたTBS。深夜の逮捕劇にも関わらず、独占スクープで映像をおさえることができた。そんなTBSの報道に対し、
「記者が張ってた?」
「なぜTBSだけ?」
という声がネットであがっている。本来、警察の捜査情報は部外者に漏らしてはいけないもの。にもかかわらず、部外者であるTBSが家宅捜索の瞬間に現場にいた。そこには裏事情が存在するとテレビ局関係者は語る。
「独占スクープを報じることは、記者にとっても、大手メディアにとって大きな功績となります。警察はメディアのそういった欲望をうまいこと操作し、警察への貢献度に応じて、どの大手メディアに情報を流すか選別しています」
■情報=飴、出入り禁止=ムチ
ここでいう警察のいう大手メディアとは、警視庁の記者クラブに加盟している大手新聞社、大手テレビ局のことだ。加盟するのは大手メディアのみで、週刊誌やネットメディア、フリージャーナリストなどは排除されている。
警察捜査の一次情報は、こういった記者クラブに所属していなければ聞くことはできない。ただし、独占的な利権情報のため、警察に反抗するような記事を書くと出入り禁止処分が発令。一定期間、レクと呼ばれる情報の伝達会議に参加できなくなり、情報がおりてこない。“出禁上等”で取材に臨む気骨ある記者も少なからずいるが、今回のTBSはその類いではない。コツコツとお上の意向に沿った結果の論功勲章とみるべきだ。
■なぜTBSが選ばれたのか?「警察24時」のカラクリ
それでは、今回清原独占スクープという褒美を与えられるほど、TBSは警察に貢献していたのだろうか。前出のテレビ関係者が話してくれた。
「1つは順番。こういったスクープは不満が出ないようにさじ加減を調節して分配されます。現場にはほかのメディアももちろんいましたが、今回はTBSが担当と、警察に指名されていたんです。そしてもう1つは、警察への貢献度。『警察24時シリーズ』などの番組は、警察への協力ぶりを見せるパフォーマンスの一種。番組を見ればわかりますが、どの局の放送を見ても警察官の活躍を過度に見せるつくりになっています」
ちなみに、TBS系は『密着!警視庁24時・激撮!密着警察24時』『実録!犯罪列島・激撮!交通警察24時』を放送しており、ほかNHK以外は、各局定期的に警察活動を取材したドキュメンタリー番組を放送している。これらは警察への信頼を高めるプロパガンダ的な意味合いもある。
過去に『警察24時』制作に関わっていた人物が、今回のTBSが選ばれた「警察貢献」についてこんな証言をする。
「記者クラブ加盟のメディアといっても、常にライバル社を出し抜こうと考えています。今回TBSが選ばれたのは、ズバリ水面下で清原逮捕に結びつく情報を警視庁組織犯罪対策第5課(銃器・薬物取締担当)に流していた。その貢献ぶりが評価され、TBSが選ばれたとみるのが自然でしょう。本来警察の監視役であるべきメディアが警察の下部組織となり、裏では密接につながっている」
清原逮捕と騒がれているが、逮捕の一部始終は、こうした警察と大手メディアの癒着があってこその独占スクープ映像だった。清原逮捕は、警察と大手メディアの癒着構造までも浮き彫りにした。
(文/タナカアツシ)