「清原逮捕は最悪なタイミング」プロ野球がテレビから消える可能性
清原和博(48)が覚醒剤取締法違反容疑で逮捕された一件は、新たな波紋を呼びそうだ。昨年、野球賭博という大問題を起こしてしまった球界に追い打ちをかけかねる、球春が間近に迫ったこの時期の逮捕は、まさに最悪のタイミングといっていい。
■途中から放送して途中で終わる…「ファンをコケにするな」
現在、プロ野球は視聴率低迷どころか、「地上波追放状態」になっている。昨年、日本テレビでは、通常8月下旬まで放送していたナイターゲーム放送を7月21日で終了。低視聴率のナイター中継にそうそうに見切りをつけた。
テレビ局関係者によれば、「巨人戦の中継であっても、7%程度の視聴率しか見込めないため、ゴールデン帯1位が取れなくなってしまう。それに一昨年は、優勝の懸かった試合を土曜のゴールデン帯で急遽生中継し、5.1%だった苦い記憶もある。年間視聴率三冠を達成した日テレにとって、野球中継はお荷物でしかないのです」だという。
一方、フジテレビは8月にも放送をしていたが、25日放送では、午後7時開始で午後8時52分に終了している。つまり、途中から中継を始めて、試合終了をまたずに終わらせたのだ。
この内容に「ファンをコケにするな」との声もネットからは上がったが、致し方ないことだ。なぜなら、この時の視聴率は3.7%。ゴールデンでは有り得ない数字を記録しているからだ。
また、8月も放送を続けたフジテレビにはこんな思惑もあった。
「野球中継の視聴率が取れない。これは揺るぎない事実ですが、日本シリーズという特別な試合を放送したいがために、フジは恩を売る形で放送を続けました」(前出・関係者)
しかし、“損して得”とれのフジのこの考えは、皮算用に終わった。プロ野球日本一を決める日本シリーズ。実際に去年の視聴率は、1戦目が9.3%(TBS系)、2戦目が7.3%(テレビ東京系)、3戦目が9.4%(フジテレビ系)4戦目が12.5%(フジテレビ系)、5戦目が12.3%(フジテレビ系)だった。
しかも、このシリーズには、流行語大賞にもなった「トリプルスリー」を達成した、柳田と山田というスター2名がいた。それでも、通常のレギュラー放送を流していた方がましではなかったか、と思ってしまうような視聴率しかとれていない。
もうテレビ局にとって野球中継は、まったく旨味がない。その証拠にフジテレビでさえ、『プロ野球ニュース』からリニューアルして、15年続く『すぽると!』を3月で打ち切った。前述の関係者は、
「プロ野球メインで地上波の番組を構成していくこと自体に、すでに無理が生じています。プロ野球はもうすでに、国民的スポーツではなくなったのでしょう」
そして、ここにきて清原の逮捕だ。
「今テレビ局は非常にコンプライアンスが重視される時代です。清原逮捕で球界にはダーティーなイメージがついてしまった。もし入手先で暴力団関係者の話がでて、そこから芋づる式に他の選手もということになったら目も当てられません。テレビ業界にとって、野球界に肩入れをする意味はもうなく、逆に付き合いたくない腫れ物になってきています」
地上波から追放されつつある野球中継。今シーズンが始まる前に逮捕された清原は、まさに最悪のタイミングといっていい。この事件の影響で、テレビの野球離れがますます加速することは間違いない。
(文/タナカアツシ)