ニッポンの“CMシンデレラ”50年の名場面(3)「大場久美子・オリンパスOM10(1979年)」 (2/2ページ)
基本は私の姿をカメラのレンズが追い、そこに「久美子、キミが好きだと言うかわりに、僕はシャッターを押した」というナレーションがかぶさる。
ところが何度目かのロケで、演出家の人と意見がまったく合わなかった。私、半日間のストライキをして現場に行かなかったくらいですから。
これに演出家さんが「じゃあ、何もしなくていいからそこに立っていなさい」と言ったんですね。だから私、ニコリともしないで、むしろにらんでいるような目線で1シーン1カット‥‥。そんな裏話があって傑作CMが生まれたんです。
何年か前、ロッテの「モナ王」で久々にCMに出させていただきました。たった1人の子役のスプーンの向きの違いで私が7皿もカレーを食べた頃と違い、今のハイテクな撮影にはびっくりしました。あらかじめ他の役者さんでCMのフォーマットを決めておいて、そこに私たちの動画を入れ替えていくような形でスピーディに完成させていく。
もちろん、CGも使っていますし、隔世の感がありましたね。ただ、時代が違ってもCMの撮影は、いつでもワクワクするものがありましたよ。