中国人漫画家が語る反日デモ団体への違和感「命と引き換えに自国を貶める」
こんにちは、中国人漫画家の孫向文です。2016年2月14日、東京の渋谷〜原宿間でSEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動)主催による1万人規模(主催者発表)のデモ活動が開催されました。
■バレンタインデーに轟いた「アベハヤメロ」のシュプレヒコール
デモには民主党の菅直人元首相をはじめとする各野党議員、リベラル派を自称する精神科医・香山リカ氏ら多数の著名人が参加し、参加者たちは口々に安倍政権退陣、安保改正法案破棄、野党の共闘を訴えながら街中を行進したそうです。
しかし、この日は日曜のバレンタインデー、しかも場所は若者が集まる繁華街ということもり、デートを楽しんでいたカップルも多かったはずです。その最中で行われた「アベハヤメロ!」などといったシュプレヒコールには多くの方が迷惑に感じたと思います。
訪日後、僕は様々な行事を見学、または参加したのですが、高い確率で市民団体によるデモ活動に遭遇しました。大まかに語ると昨年9月に米軍横田基地で開催された日米友好祭の周辺では、沖縄米軍基地撤廃、オスプレイ導入反対を訴える街宣運動が行われており、基地見学に訪れていた家族連れが興ざめしていたことを記憶しています。
同年の文化の日に開催された航空自衛隊入間基地の航空祭時には「戦争法案反対」の街宣、12月8日の皇居解放日には東京駅周辺で天皇の戦争責任を訴えるスピーチ、2016年の成人式会場の周囲では民主党による安保改正法案反対の街宣活動が行われていました。祝い事に水を差すようなこれらの行為に僕は悪印象を持ったのですが、特に成人式の街宣に関しては、むしろ民主党に対する反感を新成人たちに与えたと思います。
デモ活動を行う市民団体や野党は、時に「反日」としか思えないような活動を行います。2016年2月に北朝鮮がミサイル発射実験を宣言したことを受け、沖縄県の宮古島市に地対空ミサイル「PAC3」の設置が決定した際、沖縄の市民団体から反対声明が防衛大臣宛てに送付されました。
また、実際にミサイル発射後、軌道が地球周回にのったことを受け、「人口衛星である可能性のほうが高い」、「ミサイルと報道しているのは日本だけ」と北朝鮮側を擁護したり、「『日本の原子力発電は原爆製造のためのカモフラージュで、種子島のロケット打ち上げは事実上のミサイル開発』と言われたとしても日本は反論できないことになる」などと、論点を日本批判にすりかえてしまう意見がSNS上に多数寄せられたのです。
同年2月11日には、共産党系労働組合主催で「建国記念の日」が歴史的事実ではないと判断し、それに反対する「2.11集会」が開催されましたが、その会にSEALDsのメンバーが出席し、民主主義について論じたそうです。
このように彼らは日本側の主張や防衛行為は批判する一方、近隣諸国の主義や行為は全面的に擁護するのです。自分たちが住む土地に対する防衛行為すら否定する人々の意見を聞くと、彼らは命と引き換えに自国を貶めたがっているとすら感じます。
デモ活動参加者たちは、外国人犯罪に抗議する人々を「レイシスト」(差別主義者)と断定し、彼らの意見を「ヘイトスピーチ」(憎しみの演説)と呼びます。しかし、国防、建国日、自国の象徴など日本のアイデンティティーを否定し、近隣諸国に媚びへつらうかのような意見を主張する彼らこそが、日本を「差別」し、「憎んでいる」のではないでしょうか。
前橋市など、2月14日のデモ活動の同日に各都市で行われた市長選では、SEALDs側が推薦する候補がいずれも大差で敗北したそうです。これは大半の人々がデモ団体の活動に賛同していないのと同時に、共産党をはじめとする左派系政党の政策に欺瞞を感じはじめた証拠だと思います。
「平和活動」と称し、露骨な与党批判や反日活動に終始する左派系政党を見ていると、僕は彼らが本当に必要であるか疑問に感じます。さらに沖縄米軍基地撤廃、国税による生活保証の拡大など、SEALDsら安保反対団体の主張は左派系政党の政策をほぼなぞったものなのです。
文化大革命時、中国共産党は無垢な若者たちを洗脳し、「紅衛兵」と呼ばれる自分たちの尖兵に仕立て上げました。僕は左派系政党により日本の若者たちが「現代の紅衛兵」となることを危惧しています。
著者プロフィール
漫画家
孫向文
中華人民共和国浙江省杭州出身、漢族の31歳。20代半ばで中国の漫画賞を受賞し、プロ漫画家に。その傍ら、独学で日本語を学び、日本の某漫画誌の新人賞も受賞する。近著に『中国のもっとヤバい正体』(大洋図書)
(構成/亀谷哲弘)