個人情報は悪用し放題?業者や店員による”LINEナンパ被害”急増の背景

デイリーニュースオンライン

個人情報を悪用した”LINEナンパ”の被害が深刻に
個人情報を悪用した”LINEナンパ”の被害が深刻に

 近年、個人情報の取り扱いが各企業の重要な課題となっている。消費者は企業側の管理体制を信頼して情報をやり取りしているわけだが、従業員の暴走によって裏切られる事態が頻発しているのだ。特に女性がターゲットになる場合が多く、ネット上で被害報告が相次いでいる。

■引っ越し業者が個人情報を悪用?

 3月初め、ある女性ユーザーの投稿がネット上で大きな話題になった。突然、LINEで見知らぬアカウントから「こんばんわ…!昨日はありがとうございました お荷物ちゃんと片づきましたか? もし良かったらLINEでお話ししたいなって思って!?」とのメッセージがきたという。

 身に覚えがなかった女性が「どちらさまでしたっけ?」と尋ねると相手は「昨日引っ越でお邪魔させていただいた○○です!わかりました?」と返信し、引っ越し業者の従業員であったことを明かした。女性が「どうされました?」と伝えると、相手は「とくにどうした訳でもないんだけれどちょっと個人てきに気になっちゃって!」と返してきたという。

 女性の電話番号を勝手に自分のケータイに登録し、それを基にLINEで繋がってナンパをしてきたようだ。

 これに恐怖を感じた女性は、引っ越し業者に個人情報が漏れた経緯の説明を要求。ちょうど海外に旅行しているタイミングだったようで「帰国次第、警察や弁護士等に相談しようと思います」と書き込んだ。

 この投稿が話題になるとネット上では「怖すぎ」「絶対やったらアカンこと」などと女性に同情する意見が相次いだ。さらに驚くべきは「私もつい最近、同じ目に遭いました」と同様の被害を訴える女性ユーザーが現れ、男性からも「カジュアルに引っ越し業者からLINEがきて困惑したことがある」との意見があったことだ。

 被害者の女性は「総務部長から事案発生から1週間以上経って、ようやく電話があり、お家に来て謝罪したいとのこと」と業者から反応があったことを報告。だが「一人暮らしの女性の家にいらっしゃるなんて、素敵な精神の持ち主ですね」と対応に疑問を呈している。

■消防士・美容室・コンビニ…ネットナンパ問題が頻発

 似たような事案は続発している。

 2月、兵庫県西宮市で40代の消防士長が救急車で搬送した負傷者の娘に「合コン」を誘うLINEを送ったことが発覚した。40代女性を搬送した際、救急車に同情した20代の娘から緊急連絡先として携帯電話番号を聞き取り、これを自身のケータイに登録。

 後日、LINEやショートメールで「私のこと覚えてますか」「消防士と合コンしますか」などとメッセージを送っていた。この消防士長には停職1カ月の懲戒処分が下されている。

 また、2014年末には千葉県の男性美容師が女性客の電話番号を入手し、LINEでナンパをしたことが判明。女性は「美容室でやたら褒めてきた美容師が連絡先を聞いてきたけど教えなかった」というが、美容師は「可愛かったから一目ぼれしました」「ホットペッパーの登録番号から連絡しちゃった。本当は解雇になっちゃうことだから秘密ね(笑)」と説明してきたという。このスクリーンショットが晒されると大炎上となり、程なく男性美容師は店舗サイトから姿を消した。

 氏名情報でも油断できない。今年1月、ある女性ユーザーが大手コンビニでnanacoカードを作った直後にFacebookを通じて男性店員から連絡が来たと報告。申請用紙に書かれた女性の氏名を基にFacebookで検索したようだ。店員は「彼氏とかいなくて迷惑で無ければLINEしませんか?」などと個人的な交際を迫り、女性はコンビニ本社に相談。新聞沙汰になるほどの騒動になったが、二度と連絡を取らないことで和解したという。

「ネットであれば気軽に『繋がれる』と思い込んでいるユーザーが少なからずいる。特にLINEはハードルが低いと思われがちのため、ナンパをする方もそれほど罪悪感がない。電話番号さえあれば自動で友達登録できる手軽さも被害を助長しています」(IT系ジャーナリスト)

■LINEナンパの被害を避けるための手段

 いくら企業がコンプライアンスを徹底しようとしても、従業員が暴走すればムダ。だが、ある程度の自衛をすることはできる。

 LINEであればメニューの「設定」から「友だち」の項目を選択し、さらに「友だちへの追加を許可」のチェックを外す。すると相手が一方的に電話番号を登録しているだけの状態では、相手の「友だち」欄に自分が追加されなくなる。

 しかし、友だち登録がなくともメッセージを送ることは可能。この場合は「設定」の「プライバシー管理」の項目で表示される「メッセージ受信拒否」にチェックを入れれば友だち以外からのメッセージは届かなくなる。また、Facebookでも「プライバシー」設定で友だち申請できる条件に制限をつけるなどの方法がある。

 だが、これはあくまでネット上のコミュニケーションを遮断する手段。悪質な従業員に電話番号や住所などの個人情報を握られてしまう恐怖に変わりはない。真面目に働いている従業員が無用の疑いを掛けられないためにも、根本的な企業対策が求められるところだ。

(取材・文/佐藤勇馬)

佐藤勇馬(さとうゆうま)

個人ニュースサイト運営中の2004年ごろに商業誌にライターとしてスカウトされて以来、ネットや携帯電話の問題を中心に芸能、事件、サブカル、マンガ、プロレス、カルト宗教など幅広い分野で記事を執筆中。著書に「ケータイ廃人」(データハウス)「新潟あるある」(TOブックス)など多数

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