【闇カジノ問題】バト2選手は氷山の一角?スポーツ界に蔓延る”悪しき習慣”
バドミントン男子シングルスの桃田賢斗(21)と、2012年ロンドン五輪代表の田児賢一(26)が都内の違法カジノ店で賭博行為を行っていたことが明らかになった。これに対して4月10日、日本バドミントン協会は二人の処分を決定。田児賢一は無期限登録抹消、桃田賢斗は強化指定選手を解除され、メダルが期待されていた8月のリオオリンピックに派遣しないことを決めた。
さらに、2人が所属する実業団の強豪NTT東日本の社内調査の結果、OBを含む男子6選手の賭博行為も発覚。6人の中には日本代表の古賀輝(22)も含まれ、1年間の出場停止と強化指定選手の解除、ほかの5人には6か月の出場停止の処分が下されている。さらにNTT東日本は、バトミントン部の半年間の活動停止を発表した。だが、賭博問題はNTT東日本だけにとどまらない。
「田児は計60回出入りして、約1000万円、桃田選手は6回で50万円負けていることが明らかになっています。皮肉なことに、桃田はプロ野球・巨人の今季開幕戦で始球式も行っていました。プロ野球の野球賭博に続き、その流れがアマチュアスポーツにまで波及したことで、様々なスポーツの実業団も調査に動いているようです」(業界関係者)
■ギャンブルにハマりやすいスポーツ選手
大相撲やプロ野球など、近年プロからアマまで発覚している選手たちの賭博行為。海外ではスポーツへの賭博行為が認められている国もあるが、そういう訳にはいかないのがこの日本。選手たちが賭博にハマる原因は、スポーツ業界のある構造が関係していると関係者は指摘している。
「スポーツ選手が賭博行為にハマる原因のひとつは、昔からある“タニマチ制度”です。タニマチとは、今でいうところの“スポンサー”や“パトロン”のことです。もちろん良いタニマチもたくさんいますが、中には怪しい人間がいるのも事実。そんなタニマチ達に連れられて行く遊び場で、違法ギャンブルを覚えてしまう。タニマチに逆らえずプレイしていく中で、ハマってしまう選手も当然出てきます」(前出の関係者)
さらに、負けが込んだことで借金を重ねてしまい、止めるにも止められない状況に陥るスポーツ選手も少なくないのだとか。さらに、トップアスリートゆえの理由もある。ギャンブル依存症に詳しい、某精神科医が指摘する。
「子どもの頃からスポーツしかしてこなかったアスリートは、善悪の判断がつかずに、悪い遊びにハマりやすい傾向にある。スポーツ選手特有の負けず嫌いな性格も、ギャンブル依存を後押ししている可能性がある」
リオオリンピックでのメダル獲得は、国内でのバトミントン人気を高めるうえで必要不可欠。日本バドミントン協会は、今大会に力を注いでいたとも言われている。協会や国民の期待を裏切った選手らの罪は重い。
- 文・佐々木浩司(ささき・こうじ)
- ※1980年群馬県生まれ。スポーツ誌の契約記者を経てフリーに。現在は主に、週刊誌やビジネス誌で活動中。得意分野は芸能、プロ野球、サッカーなど。主な著書に『洗脳のすべて』(宝島社)など。